混ぜてはいけませんお客様ァ ページ40
金時side
転送装置の中に二人を入れ、準備を整える。数値も安定してるし、問題無くいけるだろ。
「(しっかし、よりにもよって珍しい二人が入れ替わっちまったもんだ)」
てっきりW沖田同士で入れ替わると思った。まァ見た目変わらねぇし、問題無ぇだろうが…あ、問題あるか。隊長の方が暴走する。
「行くぞお前等〜!歯ぁ食いしばれ!」
ジーサンがレバーを下ろす。眩い光を発して機械が作動した。
光に目を細めつつ、分離が終わるまで待つ。そう時間はかからねぇ筈だ。
暫くして、機械の扉が開く。ふらりとよろめくように、煙の中から人影が現れた。
「…おい」
………あれ?
「戻ってねぇじゃねぇか」
『な、何で…!?』
全く変化無し。どうなってんだ?
『も、もう一回お願いします!!』
山崎が慌ててジーサンに頼み込む。ま、もう一回やってみろ。こっちの手違いかもしれねぇからな。
「ちゃんと入れよ?」
「入ってらァ。そっちもちゃんとやれよ」
分かってるっての。たくっ…
でもパワーも基準値以上だし、問題無ぇ筈なんだけどな…
「ジーサン、いいぜ」
「よっしゃ、もう一回…!」
再度レバーを引く。眩い光が漏れ、同じ起動音を漏らして分離を始める。今度こそ…
『何でぇええぇえええぇええぇっ!!??』
結果発表。戻らなかった。何でだ…?
「オイ、この機械もうイカれてんじゃねーのか?」
「そんな事無い筈だ。修理もメンテナンスもばっちりだぞ?」
『それなのに何で戻れないんですかっ!?』
ジミー君が半泣きじゃねぇか。ジーサンに詰め寄る二人を見つつ、俺は表示された転移装置の状態が映し出されたモニターを見た。
…?エラーが出てる…?
「待った。…こりゃあ…」
沖田君の方に、異常が出てるのか?
「問題発生だ。沖田君自体にエラーが出てやがる」
「そりゃどーいう意味でィ。俺が機械に嫌われてると?」
「待て。……こっちの坊主にエラーだと?」
「嗚呼」
俺はジーサンにモニターを見せる。ジーサンはそのモニターを見て、何やら悩み始めた。
「こりゃあ…銀の字の時と同じだ。そっちの坊主の"何か"が欠けてるから、転移の際にエラーが出てるんだ」
「俺に…?」
「心当たりは無ぇか?お前さんの事はお前さんしか分からねぇからな」
沖田君は悩み始める。…でも、何か…
「そう言えば、夜兎らしくないよな、今の沖田君は」
「は?」
そう、あの鋭い冷たさが無い。もしかして…
「入れ替わる時に魂が分裂した…とか」
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年5月24日 2時