検索窓
今日:18 hit、昨日:7 hit、合計:9,353 hit

病院での秘め事 ページ30

総鬼side

夜兎の奴等に攫われる事件から数日、俺は暫く入院する事になった。
医者のおっさんはよく真選組の奴等を見るらしく、近藤さんが事情を説明して俺の詳細を外部に漏れないよう念押ししてくれた。

…いい人達に恵まれたなァ…

「体調の方はもういいんで?」
『まァ復帰は明日ぐらいにでもしまさァ。おっさんからも退院して良しって言われてるしな』

丁度寝飽きてたところだ。見舞いに来た総悟が剥いた林檎を頬張りつつ、屯所に戻ったら何をしようかと思考を巡らせる。
とりあえず道場には行かねぇと。鈍った身体を無理にでも叩き起こさねぇとな…

「…総鬼」

不意に総悟が俺を呼ぶ。何だと其方を向けば、総悟の顔が間近に迫った。

『…近いだろーが。離れやがれ』
「嫌でィ。…二人きりの時ぐれぇ、させてくれや」

何時もと違う調子の声。何処か切なげな表情の総悟が、俺の頬を撫でる。
そのまま、静かに唇が重なった。


「…」

突然の事に驚く俺を置いて、総悟は俺から離れる。そのまま、俺の肩に額をつけた。

「……テメーが夜兎の血に呑まれた時……怖かった」

ポツリと話し出す。俺は静かにその声を聞いた。

「俺の知るテメーは戻ってこないんじゃねぇか、そう考えて心臓が止まるかと思った。火傷を負ったって聞いた時も、俺の所為だって、すぐ思った…」
『…総悟……』

しおらしい。何時も小生意気なコイツが、何故か酷く幼く見えた。

「……総鬼…俺は」

震える声。…その先の言葉は、もう分かってらァ。

「俺は、テメーの事が」


顔を上げた総悟の口を、今度は俺が塞いだ。目を開く総悟の真っ赤な目を見つめたまま離れる。

『…その言葉は、俺が貰っとく』

口元に指を添えて笑ってやる。途端に総悟は顔を赤くした。…まだガキだな、ウチの隊長は。

「テ、テメー…っ!!」
「お、今日も見舞いに来てたのか総悟」
『お久し振りでさァ、近藤さん』
「…!」

ドアを閉めながら入ってきた近藤さんとたわいない話をする。その間、ずっと飲み込んだ言葉を反芻した。


"俺は、テメーの事が好きだ"


『(この言葉は人に聞かれないように、俺の腹ん中で響けばいい)』

総悟の甘い蜜の囁きは、俺だけのモンだ。

俺が決めた事 アイツが決めた事→←夢のようで、温かい人だった



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (13 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 男主 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年5月24日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。