チートなんてキャラじゃなかった ページ28
沖田side
「隊長!!」
目を開けると、真っ黒の隊服が目に入った。不安げに見つめる山崎の顔が安堵に染まる。
「良かった……此処、何処だか分かります?」
「……俺の部屋…」
「そうです、意識はハッキリしてるみたいですね」
「副長達呼んできます」と部屋を出る山崎を見送って、ふと隣を見る。
…其処に、総鬼の姿は無かった。
「……!?」
起き上がろうとして体の痛みに顔を顰める。いや、そんなの気にしてる場合じゃねェ…っ
「(アイツ何処行った…!?)」
俺はちゃんと腕の中にアイツを抱き込んだまま落ちた筈だ。まさか、意識を失った時、俺は手を…
「総悟っ」
近藤さんと土方さんが、慌てて来たかのように息を切らして部屋に入ってくる。
俺は質問する前に、近藤さんに抱き締められた。
「総悟ーっ!!良かった、身体は痛くないか?大丈夫か??」
「へ、へィ…」
近藤さんに抱き締められて凄ぇ苦しい…っ
バンバンと腕を叩けば、近藤さんは俺から離れてくれた。し、死ぬかと思ったぜィ…
「近藤さん、総鬼は…」
「…嗚呼」
顔が暗くなる。土方さんも僅かに顔を顰めた。
「今は病院に居る。何故かは分からないが、俺達が回収した時には全身火傷だらけでな。医者に見せたら暫くは安静にと言われた」
「火傷…」
夜兎と言う事が分かった今、考えられるのは日光による火傷。
でも普段の総鬼は火傷どころか弱った姿一つしていない。なら日光じゃねェ。他に原因が…?
「…海水だ」
襖に寄りかかりながら、土方さんは横目で俺を見つめた。
「アイツは夜兎の弱点じゃなく、影族の弱点を引き継いじまったらしい。影族は鉱星以外の星では生きられない他に、海水を浴びると皮膚が焼け爛れちまうんだと。お前らは揃って海に落ちた。だからアイツは全身火傷を負う羽目になったんだ」
…じゃあ、あの時俺が、海に落ちなかったら…今頃総鬼は…っ
「…お前の所為じゃねェよ。仕方無ぇ事だ。気にするな」
土方さんはそう言って部屋を立ち去る。
俺は近藤さんから病院の場所を聞き、一人きりになった部屋で、冷たい布団に潜った。
………布団、こんなに寒かったっけ……
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年5月24日 2時