真選組の狂犬 ページ21
土方side
GPSの示した位置を中心に探し回る。この辺りだけでもそれなりに情報が集まっていた。
番傘の黒のチャイナ服の青年が、真選組の隊服を着た男を担いで港の方に向かった。その報せが入ってから屯所は騒がしくなる。船で出られたら余計探しにくくなるが、どの船にアイツが居るのか分からない状況が続いていた。
「っ…」
緊迫と不安が高まる中で、総悟の苛立ちも膨らんでいく。そりゃそうだろうな。自分の気にかけてる奴の安否も所在も一向に取れないとあっちゃあ、不安と苛立ちが募るだろう。
「総悟、落ち着け」
「落ち着いてまさァ…、これ以上どう落ちつけってんですかィ…っ!」
「俺に当たるな。見つかり次第一番隊には現場に行ってもらう事になってる。それまで辛抱しろ」
「っ…」
言われなくてもテメーは真っ先に放ってやるよ。だから大人しくしとけ。
「(だが…番傘にチャイナ服か)」
万事屋に居る夜兎の少女を思い出す。アイツも番傘にチャイナ服、まさか…
「見つかりました!」
山崎の声に思考を止める。立ち上がった総悟の元に、山崎が息を切らして走ってきた。
「見つかりました…っ、船に入っていく処を見た目撃者の証言により、船が判明!」
見つかったのか。安堵が胸に込み上げる。が、その安心は次の言葉に打ち砕かれた。
「春雨の船です…!!」
「春雨、だと…?」
あの宇宙海賊の船に、アイツが…?
内心で舌打ちする。奴等とは度々やり合った覚えはあるが、よりにもよって今この時に春雨か…っ
「…土方さん」
総悟が声を漏らす。振り返ったソイツは、怒りを押さえ込んだ赤い瞳で俺を見つめた。
「…一番隊、行ってきやす」
有無を言わせぬ声。もう我慢の限界か。
「……行ってこい」
それだけ呟き、煙草の煙を吐き出す。総悟は刀を持って他の隊士を押し退けて行くように屯所を立ち去った。
「いいのか?トシ」
かけられた声の方を見る。近藤さんは横目で俺を見つめていた。
「
「問題無ぇだろ。それに、春雨だったらそれぐらいが丁度いい」
総悟だけじゃねぇ。その船にはもう一人、やべぇ奴が居るだろ。
「一番隊隊長と、副隊長…対になる剣が揃えば、敵無しだ」
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年5月24日 2時