俺の出番 ページ3
総鬼side
「俺がこうして此処に居るのは、アイツとの約束を護る為だったのさ。娘をお前に会わせると言う約束を。…一目、俺がそんなに心の狭い男に見えるか？親子三人、仲良く会わせてやるさ、俺の胃の腑の中で」
《マガナギぃいいぃいっ！貴様ああぁあああっ！！》
マガナギの言葉に激昂したクサナギが、その刀身の硬度を取り戻す。が、途端にクサナギの刀身にヒビが入った。
遠くからでも分かる、その音が酷く大きく聞こえたからだ。
『(あの剣技を避ける際に一発掠ってた、その時に喰われたか…)』
こりゃ駄目だな…。
刀身が塵のように崩れていくクサナギをよそに、マガナギはサーヤの方へと歩いていく。
「言っただろう。俺を謀った時から、お前の運命は決まっていたと」
赤い鞘を取り、黒い刀身を埋めていく。ゆっくりと禍々しい刃が美しい鞘の中に収められていく。
「心配するな。すぐに娘も後を追わせてやるさ。呪うなら、己の斬れぬ刃を呪え。このマガナギに楯突いた愚かな己を呪え」
《や、止めろマガナギィイィイッ！！》
…チッ、面倒くせぇな。あんな声聞いちゃあ、土方さんに言われたからとか言い訳出来ねぇよ。
地面を蹴って走る。低い姿勢のまま背後を捉えれば、抜いた刀を構えた。
『忘れてんじゃねーぞ』
耳元で囁いてやる。空いている左手を鞘を握る手に添え、ゆっくりと鞘を刀から引き抜いた。
「き、さま……っ」
「…！」
《兄ちゃん…！！》
『テメーにはもう一人、始末しなきゃあならねぇ奴が居る事を忘れてるだろーが』
赤い血を零して俺を睨みつけるマガナギに笑ってみせた。
鞘を奪い取り、斬られない内に後ろへ飛び退く。それと同時に脇腹に突き刺した刀を引き抜けば、パタタッと地面に血が飛び散った。
〔総鬼くん…！〕
『サーヤ、総悟は俺が助ける。だから待っててくれィ』
俺はサーヤを近藤さんの方に投げ渡し向かい合う。脇腹を貫かれたマガナギに向かって、剣を向けた。
『旦那ァ！』
「…！後輩…」
『"総悟"との勝負は終わってやせんよ。…俺が相手してる内に、その鈍どーにかしてくだせェ』
「どーにかってお前っ、んな事言われても…」
『どーにかしろクソ天パが』「テメェ覚えてろよコノヤローっ！！」
はっ、元気になったようで何より。後は…
『テメェだけだ。総悟』
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2023年5月24日 2時
