ろくでもない知識は混ぜるな危険【アルハイゼン】 ページ38
アルハイゼンside
やってしまった。彼に手を出してしまった。今まで一度も、そんな事はするまいと誓っていたのに。
「完全に俺の失態だ」
いくら謝っても許されはしない。俺自身が自分を許せない。
机を挟んで向かい合いながら告げると、彼は静かに口を開いた。
『確かにあの時の君は俺の要求を呑まず、暴力を振るい俺を支配下に置いてきたな』
「……」
『だがそれと同じぐらい、君は俺に愛情も向けてきたのも事実だ』
彼の言葉に俯いていた顔を上げる。彼は俺の前で微笑み、そっと自分の首元へと手を添えた。
『普段の君は俺を大切に扱ってくれている。だが時にはあのように暴力的な愛情をぶつけられるのもいいものだと思ったんだ。君はこうして俺の肉体に痕を残す事をしないから、驚きはしたが…新鮮で興味深かった』
「っ、知的好奇心で済ませる訳にはいかないんだ。あのような蛮行は、人道に反するものだと理解してくれ。俺は君を傷つけたくない」
『それは相手が人間だった場合の倫理観だろう？』
彼の言葉に、軽く息が詰まった。
『俺は人を模した半永久的不死性を有する生物だ。首を絞められようと心臓を貫かれようと、草元素が枯れぬ限りは生存する』
彼の手が俺の手を取る。ゆっくりと彼の首に指先が触れると、彼はうっとりと赤い目を細めた。
『人間の倫理など俺には不要だ。君は君のしたいようにすればいい。俺はそれに適応し、応えるとしよう』
……これは、まずい。非常にまずい。
「駄目だ、その知識は今すぐ捨てろ」
『何故？俺は君になら何をされてもいいと言うのに？』
そんな事を言われてしまったら、俺は……っ
『君はあの時、俺を力で制し屈服させる事に快楽を感じた筈だ』
「違う……っ」
『抵抗すれば力で抑え、無理やり股を開かせ、肉欲を叩きつける。その工程は君の支配欲を充分満たし、こう思わせた筈』
やめてくれ……っ
『"これでお前は"』
俺のものだと。
「止めてくれっ！」
怒鳴り声の後に、彼の小さな笑い声が漏れた。
『可愛いな、君は』
「…っ！」
睨みつけても彼は楽しげに笑うだけだ。その赤い目には恍惚とした光を湛えて、じっと俺を見て離さない。
『だが俺にも痛みは存在する。次は程々にしてくれ』
「当たり前だ…っ」
俺は君を傷つけたくない。大切にしたい。君の事を愛しているから。君を傷つける者が自分自身であっても許せない。
……もし君が他者に傷つけられたのなら、その時は……
どす黒い赤は、未だ瞳の奥底で瞬いた。
《リクエスト》胸の内の想いを咲かせて-1-【ディルック＆ガイア】→←ろくでもない知識は混ぜるな危険【アルハイゼン】
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orchid〜オーキッド〜 - 最高です！かなり無茶なリクエストしたのにも関わらずクオリティ高いものを用意して頂いてありがとうございます！これからの活動もすっごく楽しみにしています！ (12月11日 13時) (
レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - ヤァバァイもう天才ですかあなたは！！天才ですね！！めっちゃうるっと来ましたよ〜！泣 はぁ！今日も頑張れそうです！更新ありがとうございます！これからも頑張ってください！！ずっと応援してます！あ、体調には気をつけて。 (12月11日 6時) (レス) @page44 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
orchid〜オーキッド〜 - 九龍さん» ありがとうございます！もし何か分からないことあったら教えてください！ (12月10日 21時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
雷デット - ありがとうございます!! (12月10日 19時) (レス) id: d5e1296c27 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - 雷デットさん» リクエストありがとうございます！書かせて頂きます〜！ (12月10日 17時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2023年12月3日 22時
