炎は消える事無く【鍾離】 ページ14
フォルファクスside
これは一時の夢なのだろう。俺が夢描いた、平和な世という夢なのだろう。
モラクスとの時間はあっという間に過ぎていく。璃月港を離れて土地を見て回り、丘の上から夜空を見上げていれば、遠くの方に光る璃月港の明かりが仄かな星の瞬きのように見えた。
『やはり美しいな、この世界は』
魔と瘴気に溢れた土地では無い。澄んだ空気に月明かりが広がり、柔らかな風が頬を撫でて過ぎていく。
こんな世界で俺はお前と共に生きているのか。嗚呼……なんと幸福な事だろう。
「フォルファクス」
振り返れば彼が居る。石珀の瞳に浮かぶのは、静かな寂しさだった。
「もう行ってしまうのか」
『これは俺の見たただの夢だ。数千年先の世にある肉体に入ってしまったのは驚いたが、相変わらずお前とそっくりで…っはは、嬉しいなぁ』
見ろ、服も顔も何もかも同じだ。強いて言えば……そうだな。この身に巣食う淀みだけが違うのだろう。
『俺は楽しかったぞモラクス。そして何より、お前が心のままにこの世を楽しんでいる事に安心した』
温かな炎が身を包む。…そろそろのようだ。
溶岩で出来た黒く赤い線の入った岩の腕。白い裾を広げる服。纏うフードを少し上げれば、モラクスは泣きそうな顔をしていた。
『泣くな友よ。俺まで泣いてしまうだろう』
神代の世で、俺はお前を守り続けよう。そしてその先にあるこの世界の中で、お前をずっと愛し続けるだろう。
愛らしい子よ。愛らしい友よ。愛らしい、俺の神よ。この炎は何処までもお前と共に。
『また会おうモラクス。六千年先の世で、また俺と語らってくれ』
「フォルファクス……っ！！」
眩い光の先に見えたのは、泣きそうな子供みたいな顔をして手を伸ばす、鍾離の姿だった。
「フォルファクス」
…………あぁ、目覚めてしまったのか。
「無事か？」
『あぁ。短時間で切れる呪いで良かった』
「この戦時中に呪いで寝入るとはな。心配をかけさせるな、フォルファクス」
『っはは、時には休息も必要だぞ？友よ』
岩に寄りかかっていた身を起こし、目の前に広がる魔に溢れた土地を見下ろす。隣に立つモラクスの前で、俺は灼熱の槍を手にした。
『お前は下がっていろ』
「…何をする気だ」
『なに、少しはお前らしく振る舞いたくなってな』
お前が冷たい岩のような顔ではなく、温かな笑みを浮かべる世を創る為なら。
『不倶戴天』
俺はお前より冷酷になろう。
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orchid〜オーキッド〜 - 最高です！かなり無茶なリクエストしたのにも関わらずクオリティ高いものを用意して頂いてありがとうございます！これからの活動もすっごく楽しみにしています！ (12月11日 13時) (
レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - ヤァバァイもう天才ですかあなたは！！天才ですね！！めっちゃうるっと来ましたよ〜！泣 はぁ！今日も頑張れそうです！更新ありがとうございます！これからも頑張ってください！！ずっと応援してます！あ、体調には気をつけて。 (12月11日 6時) (レス) @page44 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
orchid〜オーキッド〜 - 九龍さん» ありがとうございます！もし何か分からないことあったら教えてください！ (12月10日 21時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
雷デット - ありがとうございます!! (12月10日 19時) (レス) id: d5e1296c27 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - 雷デットさん» リクエストありがとうございます！書かせて頂きます〜！ (12月10日 17時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2023年12月3日 22時
