まるで映画じゃねぇか ページ17
高杉said
「何だ……?」
突然地震のような地響きが鳴り始めて、遠くの方で海が内側から盛り上がるように、大きな水の柱を立てるのが見えた。
「うわ…!?え、何スか!?」
「新手のパフォーマンスですかねぇ」
「……いや、違ぇな」
見る限りそんなモンじゃなさそうだ。
柱の近くに居た奴らが悲鳴をあげて逃げていくのを見つつ、俺は音を立てて落ちていく水の中から何が出てきたのかと視線を移した。
それはデカい烏賊だった。下手すりゃ鯨よりでえけぇ白い体の周りを、丸太以上の太さを持つ触手が囲むように揺れている。
……おい、ありゃあ何だ。
「烏賊ですね」
「烏賊ッスねぇ…バカでかいけど」
何であんなのが海に居るんだよ。たく、幕府の狗共は何してんだ。
「晋助!」
「遅かったじゃねぇか万斉」
「すまぬ、鬼一と共に海の家に居てな」
海の家?あぁ、そう言えばそんな場所があったな。……って、アイツはどうした。
「万斉、鬼一は何処だ」
「……それが…」
万斉が困ったように肩を落とす。サングラスを手で押し上げながら、小さく溜息をつきやがった。
「…彼処に居るでござる……」
『神楽殿、今日の夕飯は烏賊飯でござる』
「イカ飯だけじゃなくてイカ焼きも追加ネ!」
「じゃあそこにイカリングも入れてくだせェ。俺塩で」
『俺はソース』
「私は醤油アル!」
……おい、何やってんだアイツらは。
万斉曰くあのでけぇ烏賊は捨てられた宇宙ペットで、幕府の狗共はソイツの処理の為に此処に来ていたらしい。
で、そのイカが出てきた瞬間、あのバカ三人が飯の話しながら仕留めに行った…との事だった。
「つまりバカか」
「バカでござる。拙者は止めたのだが、拙者の言葉も白夜叉の言葉も聞かずに走って行ってしまってな…」
銀時も居やがるのか。あぁ、あのお転婆娘が居たらそりゃあ居るか。
「…仕方無ぇなァ」
今更バカ三人を止めても無駄だろう。それにあんな鯨よりデケェ化け物にこのまま暴れられても困る。
俺は溜息をついて、武市に三味線を出すように伝えてからサンダルを履いた。
「鬼一殿の所へ?」
「あぁ。さっさとアレ片付けてもらわねぇと、酒の一つもゆっくり飲めねぇだろうが」
「晋助様!私も一緒に行くッス!」
「いや、いい。俺一人で充分だ」
「でも…!」
「下手に巻き込まれちゃ、かえって足手纏いになっちまうだろ」
それに俺ァ戦いにゃ行かねぇ。ちょいとアイツに、慣れた得物渡しに行くだけだ。
三人揃ってバカばっか→←こうして集まればまぁ何か起こるわけで
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年8月10日 23時