月に舞う白き刃 ページ9
沖田side
建物から飛び出し、熱気を纏った刃を振り翳す。横薙ぎの一閃は上に跳んで避けられ、振り下ろされた白い刃を横に転がって避ける。地面を揺らすような力で叩きつけられた刀は地面を割り砕き、そのまま地面を削って俺に襲い掛かった。
「ンの…馬鹿力がっ!」
規格外の強さは健在かよ…!地面を削って迫る刃は真っ直ぐ俺に向かって走り、勢いをつけて斬り上げた。が、俺はその刃から逃れ、横に逃げた俺はそのままお返しとばかりに右腕目掛けて刀を振るった。
刃は腕に潜り込み、振り切ってしまえば血を振り撒いて右腕が宙を舞った。
驚愕の表情を初めて浮かべ、傷口から夥しい量の血を零しながらふらりと総鬼がよろめく。その後ろで右腕がボトリと落ちた。
悪ィな総鬼。腕の一本は諦めてくれィ…!
「(後はアレを壊せば…!)」
離れたからと油断しちゃ駄目だ。アイツは人工知能付きの最悪兵器、早く始末しねぇと総鬼の体の中に入ってるナノマシンが暴走して、コイツ自身が死ぬ可能性だってある!
即座に月光目掛けて走り刀を振り下ろす。が、刃は柄から伸びた無数の布に阻まれ、途中で止められた。
コイツ…!
「が…っ!?」
突然、視界が軽く揺れた。後頭部に入った拳に脳が揺れ、意識が一瞬消える。その隙を突いて白い帯が俺の腹を強打し、そのまま突き飛ばされた。
「ぐっ……」
ゲホッと咳き込めば、地面に赤い血がビシャリと散った。
奪われた高定は、折られる事無く遠くに放り投げられる。布が総鬼の斬られた右腕に巻きつき、まるで腕の代わりと言うように一体になるのが見えた。
くそ…っ、また一からかよ…!
「やっぱ…骨が折れる、相手だなァ…っ」
内臓何個かやられた、骨も多分…折れてるなこりゃ。でも、まだ諦めねェ…!
足に力を入れ、踏ん張って立ち上がる。もう一本、腰に提げた赤い柄の刀を抜いて口元の血を拭った。
「参ったって、絶対言わせてやらァ…っ!」
それが俺とテメーの日課のルールだったよな、総鬼。だから、まだ参ったと言ってねぇ俺は、何度でも立ってやる…!
「…行くぜ、加州」
テメーの相棒はまだあるぜ。此処にとっておきの、一本が…!
その白い鈍、折り砕いてやるっ!!
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年6月15日 2時