テメーは一回、頭冷やしてこい!! ページ15
銀時side
あー、悪い事しちまったなぁ。これは俺の所為だ。
目の前で獣のように睨む沖田君を見つめながら頭を掻く。帯を打ち払った木刀を振り、血を振り撒くその姿に真っ直ぐ切っ先を向けた。
「八つ当たりなら俺にやれよ。総鬼に月光を持たせたのは…この俺だ」
嘘。でもこれできっと…
「アンタが……総鬼を…っ!!」
今の沖田君は動く。
雄叫びを上げて突撃し、相変わらず目視じゃ捉えられねぇ斬撃を叩き込むその太刀筋を見切り、一気に目の前まで迫る。目を開く沖田君の頭を掴み、そのまま地面に叩きつけてやった。
砂埃が舞い、地面がひび割れる。指の隙間から睨みつける血の海に浮かぶ黄金の瞳に、俺は冷静な言葉を吐き出した。
「落ち着けよ。まだテメーの役目は終わってねぇだろーが」
「だ、んなァ…っ!!」
「吼えるな吼えるな。傷に響くぜ?」
ただでさえお前、毒受けてんだからよ。無理したら死ぬぜ?左手で月光を持つ右手首を押さえつけながら、静かに話を続けた。
「いいか、よーく頭冷やせ。テメーはアイツを救う為に殺した。決して土方君が殺した訳じゃ無ェ。それに、あの事件で土方がテメーを助けなかったら、テメーは此処にゃ居ねぇよ」
「っ…!」
起き上がろうとする沖田君の体の上に乗り、動きを封じる。「銀ちゃん!」とこっちに来ようとする神楽達に「来るんじゃねぇ!!」と鋭く叫んでから、沖田君の握る月光に触れた。
「…テメーは、まだやる事があるだろ」
「やる、事…?」
「テメーは此処に何しに来たんだよ」
まさか、その目的すら書き換えられた訳じゃねぇよな?
「…総鬼を…連れ、戻しに…」
「そうだろ?だったらその任務、ちゃんと完遂しやがれ」
テメーは、アイツの旦那で隊長だろーが。
「準備は出来てんだ。後輩君にどれだけ苦労かけられたことか…後で金請求しとくからな?」
俺は笑って、月光に取り付けた小さな制御装置のボタンを押す。ピッと音がしたのを聞いて、すぐに沖田君から離れた。
途端に沖田君の周囲を白い光の柱が包み込む。それと同時に、沖田君の身体がふわりと浮かび上がった。
「な、何だこりゃあ…!?」
「後輩君に頼まれて仕込んだんだよ。おい沖田くーん!金はちゃーんと請求するからな!」
だから、行って来い。その手で守って連れ戻して来いよ。
「未来で待ってる!」
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年6月15日 2時