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肆拾参:抑止力としての役割 ページ44

虎杖side

「…え…?」

先生が放った言葉に、思考が軽く止まった。

「それってつまり、"殺しはしないが利用して、散々呪い封印させたら実ごと封印して処分する"ってことですか」

伏黒の声が低くなる。そう、そうだよな?でも何で覚醒が条件なんだ?何で、榎森はこのままでもいいじゃん。

「そういうことになるね。皆には言ってなかったけど、実の体内には"呪力があれば何でも封印する"箱が封印されている。その箱に高専が所持する、またはこれから回収する呪物を封印して、限界が来た時は呪いが溢れる前に実を封印することを条件に、上の奴らは実の処刑を無しにした。統合を勧めるのは、もしもの時を考えてさ」
「もしも?」
「"もしも実から呪いが溢れた時"のことだよ。コップと一緒で、物には限界がある。玉手箱は確かに優秀な呪具だけど、封をしなければすぐに呪いが溢れる。そうなると、実は内側から呪いの毒に侵されることになる。でもコトリバコの呪霊と統合してくれれば、呪いへの耐性も上がるし例え玉手箱が壊れても呪いを溢れさせることは無い」
「その代わり自我を失うかもしれない」
「その危険もある。でも実は大丈夫だよ。既に半分ぐらい統合しかけてるから」
『……』

先生の言葉に榎森が俯く。ちょっとだけ、その手は震えていた。

「実は無意識にコトリバコを抑える癖があるからね。今日の訓練は実が抵抗無くコトリバコの術式を使えるようにする為の訓練だったんだよ。あ、勿論皆の実力確認も兼ねてるよ!」
「最低だなこの教師」
「ダッツ10個奢れ」

…えと、何て言えばいいんだろう…安心したような、ちょっと嫌なような…

「(何となく理解した、けど…。榎森はだいじょぶかな…)」

急に呪霊と一緒になれって言われて、これからも呪いを受け入れることに勝手にされて、俺だったら気が狂うかもしれない。榎森は、それでいいんかな…?

『…上がそう決めて、先生が従ってるなら従いますよ』

俺が見た榎森の顔は凛としていた。紫の瞳には恐怖も迷いも無い。ただ真っ直ぐ、先生を見ていた。

『俺が呪いに負けなきゃいいんでしょ。それに、宿儺の抑止力になるなら統合した方がいい。俺が宿儺ごと虎杖を封印します』
「……榎森…」

迷いの無いその声に、俺は何だか寂しくなった。

肆拾肆:強い子供達→←肆拾弐:重大な話



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設定タグ:呪術廻戦 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月12日 16時

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