呪箱異譚 (ページ45)

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肆拾肆：強い子供達ページ45

五条side

「でもさ先生、俺やっぱり封印させたくねぇよ」

訓練も終わり、そのままの足で僕達五人は買い物に来ていた。勿論ダッツ買う為だよ！
野薔薇と恵は実と一緒にダッツを、僕は悠仁に連れられて駄菓子のコーナーに来ていた。

「榎森はさ、優しいんだよな。優しいから何でも自分がやろうとする。でも、そうやって頑張っても、その頑張りに気づかずに生きる人の方が多いじゃん？」
「そうだね。…特にこの世界で生きてると痛感するよ。呪いなんて気にせずに生きている人間の方が多い。僕達が何をしても、その世界の住人達は僕達の働きなんか知らずに過ごしていくってね」

それが普通。そう分かっていても、人間である以上見て欲しいという欲求はあったりする。昔の僕だったら、そんな気持ちでいっぱいだっただろう。

「だからさ、榎森が犠牲になることは無いと思うんだよね、俺。榎森がコトリバコになって、呪いたくさん封印してもさ、害が無いなら普通に過ごさせてやりたいじゃん」

取った駄菓子をいっぱいに抱えて立ち上がると、悠仁はニッと明るく笑った。

「俺、榎森と居るの好きだからそうしたい！まだまだたくさん話したいし、やりたいこともたくさんあるし？だから先生、榎森がやばい時は守ってくれよ。俺はまだまだ未熟だからさ」
「任せなさい！この五条悟がぜーったい守ってあげるからね！」
「っはは！やっぱ先生は頼もしいな！」

そりゃそうさ。僕は皆と出会って、この世界も悪くないと思い始めているのだから。

「あ、居た」
『先生、ダッツ決めて持ってきました』
「じゃ、今日はもう部屋で休んで良いから、あとはゆっくり皆で過ごしていいよ」
「やったー！なぁ榎森、俺の部屋でゲームしようぜ！」
「馬鹿。任務で遅れてる分の課題をやるのが先だろ」
「アンタ疲れてんのに勉強すんの！？うへぇ…気持ち悪い」
「当たり前だっ、俺達はあくまでも学生なんだぞ！？」
『俺はゲームに一票』
「よっしゃ！」
「お前っ…、……はぁ、勝手にしろ」

賑やかだ。思わず笑みが漏れる。その調子でずっと居てくれよ、皆。