拾肆:部屋割り ページ15
五条side
「…何で俺の隣にしたんですか」
「何となく」
「ブン殴っていいですか」
え、駄目?別に良くない?
実にとっては初めての寮。新しい部屋もそりゃあ用意するわけで、丁度恵の隣が空いてたから其処にしたんだよね。
で今、僕は悠仁と恵、実の三人を連れて実の部屋の前に来ていた。この二人もお互いに部屋近いんだよね。
ちなみに家具はぜーんぶ僕が揃えました!だって実、自分の私物全く持ってないからね。
「ほら、恵なら何が起こってもすぐ対応してくれるだろ?ちゃんと信頼してるからこその選択さ」
「信頼してくれないと困ります」
「おっと突然素直な言葉が」
嫌そうに顔を顰める恵に笑うと、その後ろからひょっこりと悠仁が顔を出してきた。実の部屋が気になるのかな?
「おっ、榎森の部屋?中見ていい!?」
「構わないよ〜?実が良いって言うなら「なぁ見ていい?」早っ」
悠仁って本当に社交的で明るくていい子だよね…。
『……』
一方の実は無口。微動だにしない。
少しでも良いから愛嬌があればなぁ…「おっ、OK!?よっしゃ、おっじゃましまぁーす!」
…え。
「ちょ、ちょっと悠仁ストップ!」
「ん?」
部屋に入ろうとする悠仁を止めると、悠仁はきょとりとした顔を向けてきた。
「実の言葉が分かるの…?」
「え?だって雰囲気で分かるだろ?別に嫌がってる感じもしないし、いいかなーって」
凄いな悠仁は…。僕は仲良くしてくれるなら良いんだけど…
「っ、だからって得体の知れないやつの部屋なんかっ「あー!きーこーえーなーいー!」虎杖!」
無理矢理言葉を切って部屋の中に入る悠仁に、恵は深く溜息をついた。
分かるよ、警戒している相手の部屋なんてちょっと危険な感じがするよね。
でもこの部屋、僕がちょっと前に一生懸命用意した部屋だからね。危険なものは何一つ無いさ。
「大丈夫だよ恵。そう心配する必要は無いって」
「でも…っ」
「家具は全部僕が用意したし、危険なものは無いさ。でも本当にやばい時は…任せたよ」
「…!」
皆同じさ。未知のものは怖い。宿儺だろうとコトリバコだろうと、それらは全て未知の恐怖を抱えている。でもさ、
「(怯えていても始まらない)」
今はのんびりとした平和が続いている。それを謳歌しようじゃないか。
いつかは、この平和も終わるのだから。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月12日 16時