参拾漆:黄泉偽呪法 ページ38
伏黒side
やった。榎森に釘崎の攻撃が届いた。あれだけ攻撃しても傷一つ受けなかった榎森に、傷を負わせることが出来た…!
「(不意打ちには弱いって事か…!)」
厳しい条件だが、分かればどうとでもなる。五条先生みたいなタイプじゃなくて良かった。
俺は別にダッツ興味無ぇけど、一応コレも訓練だ。本気でやれと言われたらやるしかない。
『……』
…何だ?様子が変だぞ…?
「畳み掛けるわよ二人共!」
「応っ!」
「っ、分かった!」
考えてる暇は無ぇか…っ、どうにかして隙を作らねぇと…!
『…人間風情が…』
低い声が聞こえた。ゾクリとするその声に心臓を鷲掴みにされたような寒気が走る。意気込んだ矢先に、これ以上攻撃してはいけないとばかりの警鐘が頭の中で鳴り響き始めた。それは釘崎と虎杖も同じようで、目を見開いたまま動けずに居た。釘崎に至っては小さく手が震えている。
スゥ…と榎森が天を仰ぐように顔を上に上げる。深く深呼吸するように胸が上下した途端、
『"
足元から黒い泥が噴き出し、無数の剣となって俺達に発射された。
「「っ!?」」
「釘崎っ!!」
俺は鵺の翼で剣を防いだが、数本の刃が鵺の翼を貫いた。苦痛に声を漏らす鵺も心配だが、問題は虎杖達だ。
「虎杖!」
「だ、だいじょぶ!
釘崎を抱えて咄嗟に転がって躱したらしく、二人揃って地面に寝転がる姿が見えた。無傷みたいだ、良かった…「伏黒後ろっ!!」「…っ!?」
虎杖の鋭い声に咄嗟に後ろを振り向く。それと同時に、トンッと俺の胸に手が添えられた。
『遅い』
冷たい紫が俺を射抜く。そのまま俺は、添えられた手に突き飛ばされるようにして吹き飛んだ。
飛ばされた身体は2〜3度地面を転がって、崩落した瓦礫にぶつかる。背中に衝撃と激痛が走ると、肺の中の空気が一気に吐き出されて喉が酷く痛んだ。
『…悪ぃ。ちょっと意識持ってかれた』
頭が痛ぇ…っ、今ので打ったか…?血は出てない、衝撃に耐えられなかっただけか…っ
つーか、この圧…
「(今どっちだよ…っ!)」
あの時と一緒だ。初めて榎森と会った時に感じたあの空気…!
『次は加減する』
今立ってる榎森は、本当に榎森なのか……!?
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月12日 16時