誰のものか自覚しろ ページ34
高杉side
すっかり冷え込んだ夜の空気が窓をすり抜けて流れ込んでくる。煙管から吐き出した煙が室内に漂う中、『晋助』と小さくアイツの声が聞こえた。
「入りな」
声をかけると静かに襖が開く。出てきたソイツを見ると、所々赤く染まった群青のロングコートを引っ提げて、シケた面のまま部屋に入って来やがった。
『その…遅くなってすまない。仕事の報告をしに、来たのだが……』
「…そうかい。その前に、そのだらしねぇ格好の理由を聞かせてもらおうか」
俺ァ無茶はするなと言った筈だ。そう睨んでやると、鬼一はビクリと肩を震わせて俯いた。
『あ、相手が…機関銃を、取り出して……』
「で？」
『…っ、それで、気づく前に…撃たれたのでござる……』
…嘘じゃねぇな。
俺の前に正座をして話す鬼一は、膝に乗せた両手を微かに震わせていた。不意打ち食らったが故の怪我っつーわけか。……たく、馬鹿だな此奴ァ。
溜息をついて立ち上がる。鬼一の前まで来ると、その頬を思いっきり殴りつけた。
『っ…！？』
吹っ飛ばされた鬼一は床に倒れ込む。傷が痛んだのか苦悶の表情を浮かべるのもお構いなしに、胸倉を掴んで立ち上がらせた。
「テメーは自分が誰の物なのか、まだ理解できてねぇみてぇだな」
『そんな、事は…っ』
「だったら何でンなクソつまんねぇ怪我してんだ」
『っ……だがもう塞が「人間だったら死んでるぞ」……！』
俺の一言に鬼一は黙った。手を離してやると、ソイツはその場に膝をついて数回咳き込んだ。
「お前は何度言っても分からねぇのか。まぁ仕方無ぇか、すぐ言った事も忘れる出来の悪ィ頭だからな」
そう言ってやると鬼一が俺を睨み上げてきやがった。言いたい事があるならはっきり言ってみろ。
『俺とて…好きで、記憶を失った訳では、無い……っ！！』
「ならしっかりと憶えときな。テメェは俺の懐刀。いちいち怪我負っていい奴じゃねぇんだよ」
テメーは自分の力ってのを過信しすぎだ。そんなんじゃ何時か、自分で自分の身を滅ぼすぞ。
鬼一は唇を噛んでまた俯く。軽く溜息をついてから、俺は鬼一の頭をぐしゃりと撫でた。
「次から気をつけな」
『…分かった』
たく、世話の焼けるガキだ。どれだけ俺が目ぇかけてるのか全く分かっちゃいねェ。
ぐしゃぐしゃと頭を撫でてやってから、俺は少しだけ口角を上げた。
「お前がどんな天人なのか、教えてやろうか」
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九龍(プロフ) - 連夜さん» コメントありがとうございます！こちらはこちらでまた色々と違った道を辿ると思いますので、楽しみにしてて下さい！無理せずに更新頑張ります！！ (6月3日 1時) (
レス) @page29 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
連夜 - 真選組の方も見ました!!高杉晋助カッコイイっス。鬼兵隊は家族って感じがなんかします。真選組は同志とか兄弟みたいな。主人公も少し設定が変わってて、真選組との絡みも前世？の記憶みたいで面白いです。応援しています。無理せずに。 (6月3日 1時) (レス) @page29 id: 433cf63c41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2023年5月29日 1時
