異常でもそれなりの感情はある ページ33
鬼一side
息切れがする。少し肩を上下させながら呼吸を整え、突き刺した刀を引き抜いた。どうやら先程襲いかかってきた浪士共で最後だったようだ。
『それにしても機関銃とは……武士の風上にも、置けぬ奴らだ……っ』
身体が痺れる……っ、不意打ちとはいえ…全身に銃撃を受けたのは流石に堪えたか……っ
ふらつく足もそのままに、一度近くの壁に背を預けて座り込む。今すぐ此処を出なければならないが、この傷ではすぐ動く事は無理だ。治るのを待つしか無い。
此処は町から少し離れた場所にあるから、機関銃を撃とうと物音がしようと人に聞かれる事も無いし、この場に人が来る事も無いだろう。…巡回している者が居なければ、の話だが。
『ん゛……っ』
全身に走る痛みに思わず声が漏れる。内側から肉が盛り上がる違和感と共に、血が滲み穴の空いた背中から弾丸が吐き出されていく。
ぐっと歯を食いしばって暫く痛みに耐えていると、次第にその違和感と痛みは引いていった。
『っ、はぁ……っ、はぁ……っ』
カラン、と弾丸が床に落ちる音が聞こえる。無理に再生を早めた所為で背中が酷い熱を持ってしまったようで、じくじくと撃たれた傷が鈍く痛んだ。だが血は止まったのだ、後は自然に治るのを待とう……
後頭部の傷を指先で弄り、中から弾丸を取り出して投げ捨てる。3発当たったが、内2発は頭蓋を貫通したようだ。
『体質に感謝、でござるな……っ』
血の止まった傷から手を離し、顔にこびり付いた血を袖で拭って立ち上がる。
三味線は……穴が空いてしまっているが直せる範囲の故障か。サングラスは無事。……ヘッドホンは……
『……』
吹っ飛んだヘッドホンの元に向かう。三味線に刀を仕舞って拾い上げると、片耳のハウジングが完全に破壊されていた。
弾が当たってしまったらしい。デロンと垂れ下がる配線を見て、どうしよう…と焦りが込み上げた。
これは…俺が初めて仕事をした日に万斉から貰った物なのだ。サングラスとヘッドホンは万斉とお揃いの物で、どれだけ無茶をしてもこの二つだけは壊す事無く大切に扱ってきた。……なのに……
『…怒られるでござろうな……』
晋助にも叱られそうだ…無茶をするなと言われたのにこのザマでは……
…いや、今回は機関銃が悪い。あんな狭い所で機関銃を出してきた相手が悪いのだ。俺は別に悪くない、と思いたい。
嗚呼、足が重い……。治りかけの傷もそのままに、船のある港へと帰る事にした。
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九龍(プロフ) - 連夜さん» コメントありがとうございます!こちらはこちらでまた色々と違った道を辿ると思いますので、楽しみにしてて下さい!無理せずに更新頑張ります!! (6月3日 1時) (レス) @page29 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
連夜 - 真選組の方も見ました!!高杉晋助カッコイイっス。鬼兵隊は家族って感じがなんかします。真選組は同志とか兄弟みたいな。主人公も少し設定が変わってて、真選組との絡みも前世?の記憶みたいで面白いです。応援しています。無理せずに。 (6月3日 1時) (レス) @page29 id: 433cf63c41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年5月29日 1時