やはりこちらの世界が合っている ページ32
鬼一side
薄暗い廊下を歩いていく。ヘッドホンから流れる音楽を楽しみつつ、刃に付いた血を袖で拭い取った。
館の中に入った俺は、左側の通路に進んで室内や廊下に居る浪士共を斬り殺していった。今ので丁度10人目だ。
『蟻一匹生きて逃がすなとは…晋助も酷な事を言うものでござる』
だが晋助に頼まれたなら仕方無い。これも鬼兵隊の為、皆の為の犠牲となるであろう。
それに此処に集う者達は皆…己の保身と利益にしか食いつかぬ愚か者共だ。
館の中は大騒ぎだ。次々と屠られていく仲間と、血濡れの俺の姿を見て困惑と恐怖の音色を瞳に浮かべている。
目の前に広がる廊下の先には、これ以上俺を先に進ませまいと数人の浪士が立ち塞がっていた。
「鬼一殿、乱心なされたかっ!」
「我らは同じ旗の下に集った同志では無かったのですか!?」
同志、か。その口でよく言ったものだ。
『はてさて、なんの事やら』
笑って足に力を込める。俺の動きに反応して抜刀しようとした男共の元へ、床を蹴るようにして一気に駆け抜けた。
男達の間をすり抜けるように走り抜け、刀を振り切る。刃から血が滴り落ちるのと同時に、全員の体から血飛沫が舞い上がった。
『貴様らの顔など、憶えていないでござる』
特に同胞を売るような輩の顔など、覚える価値も無い。
背後で人の倒れる音を聞きながら刃の血を振り払う。この辺りの人間は大体片付けた筈だ。後は二階か……
「撃てぇっ!!」
背後から聞こえる怒号のような声。それと同時に無数の銃声が廊下全体を包み込んだ。
背中に無数の衝撃と激痛が襲いかかる。着弾と共に身体が跳ね、耳にかけたヘッドホンが音を立てて前方に吹き飛んだ。
『っ…!』
ガンっと殴られたような衝撃が頭を襲う。揺らぐ視界に思わず刀を突き立ててふらつく体を支えながら背後を見れば、廊下の奥に無数の銃口を持つ機関銃がどんと置かれていた。
「化け物め…っ!此処で死ねっ!!」
『っは…ガラクタ風情が…っ!』
背中が穴だらけになったぞ貴様…っ!
痺れを起こす手に力を込めて刀を握り直し、機関銃の方へと走る。飛来する弾丸を急所に当たるものだけ弾いて突き進み、跳躍して操縦する男の脳天を縦にかち割った。
「まだだっ!!奴を討ち取れっ!!」
残りの浪士達が一斉に俺に向かって走ってくる。全く…どいつもこいつも……
『嘗められたものだ』
俺は笑って、口端から溢れる血を舐め取った。
異常でもそれなりの感情はある→←考える前に目の前の事を済ませてしまおう
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九龍(プロフ) - 連夜さん» コメントありがとうございます!こちらはこちらでまた色々と違った道を辿ると思いますので、楽しみにしてて下さい!無理せずに更新頑張ります!! (6月3日 1時) (レス) @page29 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
連夜 - 真選組の方も見ました!!高杉晋助カッコイイっス。鬼兵隊は家族って感じがなんかします。真選組は同志とか兄弟みたいな。主人公も少し設定が変わってて、真選組との絡みも前世?の記憶みたいで面白いです。応援しています。無理せずに。 (6月3日 1時) (レス) @page29 id: 433cf63c41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年5月29日 1時