初めて聞く自分を知る第一歩 ページ28
鬼一side
武力ではない力……そんなもの考えた事も無かった。何時も誰かを殺す為に動いていたからな。
『例えば？』
「そうですね……。身近なところで言うなら、誰かの為に食事を作ってみたり、お風呂を沸かしてあげたり、危ない時助けてあげたりする…ですかね？」
『家事を覚える事が力を得る事に繋がるのか？』
「戦う為の力にはなりませんけど、誰かと一緒に笑い合って、感謝される事も一つの強さになりますよ。人の為にした事は、巡り巡って自分に返ってくるんです」
巡り巡って……自分に……
『……』
考えた事も無かった。俺が教わったのは、鬼兵隊で生きていく為の技術ばかりだったから。
剣術、銃の扱い、弦の操り方、戦場での生き方、敵の殺し方……どれも鬼兵隊に居る限り覚えなければいけないものだ。でも、家事なんて一度も教わった事は無かった。
…皆の為になる事…。それを覚えれば強くなれるのか？独りにならずに済むのか？
『……お主の提案、試してみるでござる』
「…！是非…！」
「頑張れよカワカミ！私も応援するアル！」
『かたじけない』
この二人は俺が鬼兵隊の人間と分かっていながらも、ここまで親身になってくれた。珍しい者達だ、普通なら話も聞かずに通報しているだろうに…
っと、長話をし過ぎてしまったでござる。
時計を見れば既に夕方に差し掛かっており、窓から差し込む日の光は橙色に染まっていた。流石に仕事に行かねば叱られてしまう。
『では、俺はそろそろ失礼するでござる』
「え〜！嫌アル！もっとお喋りしたいネ！」
「神楽ちゃん、鬼一さんは此処に居たら色々と拙いから…」
「む〜…！」
頬を膨らませる神楽殿に『すまぬな』と苦笑する。酢昆布一つでとんだ娘に好かれてしまったものだ。
ソファから立ち上がり、三味線を背負って玄関に向かう。万斉の分の菓子が入った袋を手首にかけながら、靴を履いて振り返った。
『世話になった。それと、驚かせてすまぬな』
「いえ…！僕の方こそ色々とすみません…」
「また来るアル！歓迎するネ！」
手を振る神楽殿と笑顔で見送る新八殿に一礼し、玄関の戸に手をかける。が、戸の向こうから放たれた殺気を感じ、すぐに手を引っ込めた。
勢い良く開く玄関の戸。目の前に迫る気配だけを頼りに即座に三味線を前に持ってくると、重々しい一撃が棹にぶつかり、強い衝撃が腕を駆け抜けた。
「てめぇ…っ！」
夕日に輝く銀色の髪の隙間から、血のような赤い瞳が見えた。
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九龍(プロフ) - 連夜さん» コメントありがとうございます！こちらはこちらでまた色々と違った道を辿ると思いますので、楽しみにしてて下さい！無理せずに更新頑張ります！！ (6月3日 1時) (
レス) @page29 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
連夜 - 真選組の方も見ました!!高杉晋助カッコイイっス。鬼兵隊は家族って感じがなんかします。真選組は同志とか兄弟みたいな。主人公も少し設定が変わってて、真選組との絡みも前世？の記憶みたいで面白いです。応援しています。無理せずに。 (6月3日 1時) (レス) @page29 id: 433cf63c41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2023年5月29日 1時
