任された仕事は必ずこなさねばな ページ14
鬼一said
「外の連中は？」
『また子が片付けに行った。今頃魚の餌でござる』
そう言うと晋助は頭を撫でてくれた。よくやった、と言う晋助なりの意思表示でござるな。
『それにしても、よく間者が居ると判ったでござるな』
「新入りが多く入った時期から噂が広まり始めたからな。紛れ込んだのはすぐ分かった」
煙管から煙を吐く晋助の視線は、殺した男の死体に向けられていた。…？何だアレは……？
細切れにされた死体に近づいて、紛れるその布端を拾い上げる。赤い絵の具で描かれたような模様だ。
『決起組の、会員証か』
「だろうなァ」
此処まで間者が潜り込んでいるとはな。嘗められたものだ。
「…売られた喧嘩は買ってやらねぇと失礼ってもんか」
『……晋助』
「好きにしな。但し、無茶はするなよ」
分かっているとも。相手が無茶な事をしなければ問題は無い。
睨んでくる晋助に対して降参とばかりに両手を挙げると、「分かりゃ良い」とだけ言ってそっぽを向いてしまった。
『お使いついでに行ってくるでござるよ。夜には戻る』
そう言い伝えて晋助の部屋を後にする。途中で出会った部下に晋助の部屋の死体の片付けを頼み、外に続く通路を歩いていると、曲がり角から青緑色のコートが飛び出してきた。
『万斉…！』
「…！鬼一か」
何かあったのだろうか。万斉は手にした仕込み刀を三味線に仕舞い、片手に数枚の紙を持ったまま此方に来た。
…頬に血が付いているのだが……
『何かあったのでござるか』
「なに、晋助に資料を届けに行く途中に襲われてな。今しがた始末したところでござる」
成程、道理で血腥いわけだ。万斉が来た方の通路を覗き込めば、二人の部下の死体が転がっていた。恐らく奴らも決起組の内通者なのだろう。
「全く、病み上がりだと言うのに無粋な連中でござる」
『…万斉』
「ん？」
返り血が、気になる。
頬を叩いて教えてやると、万斉は指先で血に触れ「あぁ」と納得したように声を漏らす。そのまま袖で血を拭ってから、俺の頭を撫でてきた。
「我慢出来て偉いでござるな」
『俺は犬ではない』
むやみやたらに血を舐めるなと言っているのはお主であろう。
何処か機嫌の良い万斉に『仕事に行ってくる』と伝え、彼と別れて船外に出る。船の手摺に足をかけて飛び降りると、そのまま港を出て町の方に向かった。
懐刀だからこそ、大切に扱うのでござる→←俺ァ気に入ったモンは大事にするタチなんだよ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 27人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
九龍(プロフ) - 連夜さん» コメントありがとうございます！こちらはこちらでまた色々と違った道を辿ると思いますので、楽しみにしてて下さい！無理せずに更新頑張ります！！ (6月3日 1時) (
レス) @page29 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
連夜 - 真選組の方も見ました!!高杉晋助カッコイイっス。鬼兵隊は家族って感じがなんかします。真選組は同志とか兄弟みたいな。主人公も少し設定が変わってて、真選組との絡みも前世？の記憶みたいで面白いです。応援しています。無理せずに。 (6月3日 1時) (レス) @page29 id: 433cf63c41 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2023年5月29日 1時
