初めての出会いは喧嘩から ページ11
また子said
豪雨のような雨が降った日、鬼一はこの船にやって来た。私が彼と初めて出会ったのは、彼が来た翌日だったと思う。
ツンツンと跳ねた黒髪を前分けにした、色白で綺麗な顔をした10歳ぐらいの男の子だった。黒い中華服を着たその子は、子供とは思えない程鋭い青灰色の目をしていた。
当時の鬼一は自分の事を一切憶えていなくて、でもそんなの気にしないとばかりに一生懸命周りの役に立てるようお手伝いばっかりしていたと思う。晋助様や万斉先輩の後を雛みたいについて行って、時には部下の仕事を見学して手伝ったりしてた。その時からもう子供とは思えない怪力っぷりを発揮してて、皆びっくりしてたっけ。
鬼一はとてもいい子だった。ニコニコ笑って明るく接して、疲れた部下にお茶やお菓子を運んだり、代わりに仕事を手伝ったり…気の利く子だった。そんな鬼一の姿に、皆絆されたんだと思う。
万斉先輩だって最初は「怪我が治って一人でも生きていけるようになったら手放す」なんて言ってた癖に、結局手元に置いて可愛がってたし、晋助様だって無言で鬼一を撫でたりして可愛がってたしなぁ。
私も最初は「子供なんか置く必要ないだろ」って思ってたけど、お互い意地張り合って競い合ったりしてたら、なんか愛着湧いちゃって……結局皆彼に癒やされていたんだと思う。
だから、その言葉を聞いた時は怖かった。鬼一が鬼兵隊の皆にも慣れて、本格的に武術の訓練をするようになった頃、会議の場で晋助様はこう言った。
「鬼一は天人だった」
それは私にとって、別れを覚悟するような言葉だった。
晋助様は淡々と判明した経緯を話してくれた。その日の稽古中、鬼一の中の天人の血が騒いでしまったのか、万斉先輩に襲いかかって左手に噛みつくという事故が起こってしまったらしい。その時に彼は万斉先輩の血を飲んでしまったようで、突然身体が万斉先輩と瓜二つのものになったと晋助様が言った。
血を飲むと変身する天人。そんなの聞いた事が無かった。でも天人である以上、天人を嫌う者が多いこの船には、鬼兵隊には居られないんじゃないか、私はそんな考えばかりで頭がいっぱいになった。
鬼一は捨てられるのかと、本気で怖くなった。
「安心しな。誰も捨てるなんざ言っちゃいねぇよ」
そう言って笑う晋助様の顔にどれ程安堵したか…。…今のアイツは、当時の私の気持ちなんて知らないんだろうな。
信ずるものは一つで良い→←言う事を聞かない弟のような、手間のかかる悪友のような
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九龍(プロフ) - 連夜さん» コメントありがとうございます！こちらはこちらでまた色々と違った道を辿ると思いますので、楽しみにしてて下さい！無理せずに更新頑張ります！！ (6月3日 1時) (
レス) @page29 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
連夜 - 真選組の方も見ました!!高杉晋助カッコイイっス。鬼兵隊は家族って感じがなんかします。真選組は同志とか兄弟みたいな。主人公も少し設定が変わってて、真選組との絡みも前世？の記憶みたいで面白いです。応援しています。無理せずに。 (6月3日 1時) (レス) @page29 id: 433cf63c41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2023年5月29日 1時
