🐶そう言えばさ ページ30
ダルメシアside
「エースってさ、結構表情豊かだよね?」
僕がそう言うと、ジャックは「そうかなぁ?」って返してきた。
僕は今ジャックの部屋に遊びに来てるんだ。でもジャックはお仕事がちょっと残ってるとかで、僕はソファに座ってお仕事が終わるのを待ってるんだ。グッドボーイだろ?
「でも突然だね?」
「う〜ん…人間達から見たエースがさぁ?"クールビューティー"とか"笑顔はレア"とか言われててさ〜…」
今日のリクルーティング中に聞いた会話の中で聞こえた単語を言うと、ジャックは笑って「そりゃ、人間の前じゃ笑顔出ないよね!」なんて言った。
「人間嫌いのエースのことさ、人前に出てくるだけ良い方だと思うよ?それに仕事中も笑わないし」
「そうなのか?」
「うん。仕事中のエースは、皆が思ってる以上にイカれてるよ」
楽しそうに言いながら、ジャックは僕に紅茶の入ったカップを渡してくる。受け取って口をつけると、不意にジャックが「そうだ!」と手を叩いた。
「折角なら見てみるかい?仕事中のエース!」
「え、良いの?」
「勿論!僕と一緒なら見学ぐらい許してもらえるさ!女王様は寛大だからね!」
「そうと決まれば行ってみよう!」なんて言って、ジャックは部屋にかけられているハートの鏡に触った。そうしたら、鏡がおっきなハートのドアに変わったんだ!
「さ、行こう親友!」
笑顔で手を差し出されて、僕はその手を取った。そのままドアの先へと進むと、濃い薔薇の香りと一緒に青空の広がる薔薇の庭に出たんだ。
「わぁ……!」
凄い、一面真っ赤な薔薇だらけだ!ハート型の薔薇の木の道は迷路みたいで、ジャックと一緒じゃなきゃ迷子になりそうだ。ズンズンと進むジャックについて行った先には、大きなハートの門を構えたお城が現れた。
「此処が僕達のお城さ。エースも中に居るよ」
おっきい……。クルエラ様と一緒に居た街には、こんなおっきなお城なんて無かった。パークの中以外でお城を見る日が来るなんて……
ギィ…と開くお城の中はハート塗れで、道がグネグネと曲がっていて赤と黒と白しかない。異世界のような光景に思わず好奇心が擽られるけど、下手なことをしたら首をちょん切られそうで怖いや。
「ダル、こっちこっち!」
手招きする親友の元にかけていくと、「"裁判所"」と書かれた大きな扉の目の前に出た。
「此処にエースが居るよ。…入ってみようか」
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月31日 1時