🖤隠してたわけじゃないけどね ページ28
エースside
僕が得意な魔法は2種類ある。その1つがこの空間を操るものだ。
ジャックと僕はそれぞれ同じ魔法が使える。でも二人共得意な魔法が全く違うんだ。確かにジャックも何も無いところから物を取り出したり、別の空間から空間へ渡り歩いたりできるけど、僕のはその先を行ってる。
『僕の魔法はその場の空間全てを操る。荒地を花畑に変えるのも出来るし、人が沢山いる空間を圧縮して虐殺なんてことも出来るよ。…試してみる?』
そう言って笑ってやると、目の前の人間は少しだけ青ざめた。グネグネと動く空間の中では重力すらイカれてしまう。立ってることが出来るのは、僕とジャックぐらいだろう。
「こ、これほどの魔法………っ、魔力を相当使うはずですよ!?」
『あー、そうだね。確かに疲れるから滅多に出さないんだけど……まぁ今回は点検だし?別にいいかなって』
パチンッと指を鳴らして空間を戻すと、ほっと安堵の息を吐いて人間が「驚きました…」と声を漏らした。
「流石ハートの国一のトランプ兵と言いますか……。魔法も相当強力なものなんですね……」
『まぁね。でもどれだけ強い魔法を持っていても、陛下には敵わないけどさ』
彼女に刃向かうやつは、皆自分で首を切り落として消えていく。トランプ兵が逆らうことは無いけれど、それ以外のヤツらが自分から首を刎ねていく姿を見た事はたくさんある。それほどまでに絶対的な魔法を持つのが、僕の女王陛下だ。
「魔力の質にも問題ありませんし……、ほぼ問題無しです。お疲れ様でした!」
手元の紙を見てぺこりと頭を下げる人間を見てから、早々にジャックの方へと駆け寄る。そのまま僕は背後に隠れた。
『いいか!次は無いからな!』
僕は!人間が嫌いだ!!特に赤色じゃない人間はとっっっても嫌いなんだ!!
『次会う時赤色だったら話してやる!』
「真っ赤なMPもいいね!じゃあ僕がそのスーツ塗ってあげるよ!」
「えええぇ!?や、やめてくださいよぉ!」
身を守るようにして身構える人間を威嚇していると、マルフィが頭を撫でてきた。
「でもよく頑張ったじゃないか。女王様に褒められるだろう」
……!女王陛下の御褒めの言葉…………
『ま、まぁね。僕は誇り高きトランプ兵だからね!』
少し胸を張って言えば、何だか知らないけど3人ともほわほわした笑顔を浮かべて僕を見た。
な、なんなのさ……!子供を見守るような目で僕を見るんじゃない!見るなったら見るなー!!
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月31日 1時