ハートのトランプは幸せな夢を見る (ページ26)

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🖤人間は嫌いだって言ってるじゃないか！ページ26

エースside

なんで僕が人間の言うことなんか聞かないといけないんだ。不愉快だ、とっても不愉快。
ジャックに無理やり診察室の椅子に座らされながら、僕は目の前の人間を睨みつけてやった。

「……あの〜……」
『…………』

困った顔しても、僕は絶対！言う事聞かないからな！！
ふんっと顔を逸らしてやれば、「えぇ……」とまた困った声を漏らす人間。ふん、そのまま困ってればいいさ。

「こらエース？少し我慢すれば終わるからちゃんとやろうよ〜」

ジャックが僕の方に手を添えて苦笑いする。やなこった、僕は女王陛下の命令しか聞かないからな。

「困ったな……こうなったエースはアリスみたいにわがままになるんだよな……」

うーんと悩むジャックの声を聞きながら、まだつーんとそっぽを向き続ける。そしたら「あ！」とジャックが声をあげた。

「エース、我慢出来たら女王様が褒めてくださるよ！」

…………………え？

『ほんと？』
「ほんとほんと！人間嫌いなのにちゃーんと我慢して点検受けれたら、女王様も「”なんて我慢強く自制心のあるトランプ兵か！”」って喜ばれるよ！」

…………陛下が喜ぶ…………陛下に褒められる……………、…………………。

『そ、そこまで言うなら？別に言うこと聞いてやってもいいけど……』

そう言うと、人間はなんかすっごい笑顔で「よろしくお願いします！」なんて頭を下げてきた。…まぁいいだろ、最高のトランプ兵たる僕に頭まで下げる人間は稀だからね！

『今日だけだからな？陛下のお顔に泥を塗りたくないから言うこと聞くんだからな！』

そう釘を刺せば、人間は何度も首を縦に振った。後ろで見守ってるマルフィやアップルもなんだなホッとしたような雰囲気を出してるのが分かる。何だこの空気！

「で、ではまず身体検査の方を……」

おずおずと言ってきた人間に対して、僕はトランプに変身してみせた。人間が色々と手元の用紙に書き込んで、良しと言われたから元に戻る。

「次は魔法の方の確認をさせて頂きますね？」

魔法、魔法か…………。……いつも使ってる魔法だよね？

『分かった』

ひと言答えて、僕は虚空に手を向ける。パシッと出てきた斧を手にして、目の前の人間に差し出した。

『そら、存分に触りなよ』

触れるならの話だけどね。