🖤目覚めてみると ページ15
エースside
鳥の囀りと、植物の香りで目を覚ます。見えた天井は見たことのないもので、数度瞬きした際に見えた窓の外には、茨が広がる森が広がっていた。
……そうだ。僕はマルフィを探しに此処に来て、確か……
『(お腹の傷…っ)』
傷を確認しようと上体を起こすと、左手に温かい感触を感じた。ベッドに落ちる黒い羽根と、僕を守るように乗る黒い翼。…左に目をやると、そこには頭から毛布を被ってスヤスヤと眠るマルフィの姿があった。
『マルフィ…』
ちゃんと人の姿だ…。でもまだちょっと鳥っぽい…
頬にはまだ羽根が生えてるし、髪も羽根混じってるし…。わ、マルフィの手、爪長くなってる…。でも腕は人の時と同じだ…
ずっと此処に居たのかな。クマの酷い目元を指先で撫でれば、「ん…」って声を漏らしてマルフィが起きた。
『おはよ、マルフィ』
「…エース…?………っ!?エース…!!」
『わ…っ!?』
突然抱き締められて思わず驚いてしまう。ギュッと抱きしめる彼の気持ちを表すかのように、背中の翼が僕を覆い隠すように包み込んできた。
「良かった…っ、もう、起きないかと……っ」
…声が震えてる……。頭を撫でると毛布がはらりと落ちて、2本の黒い角が顕になった。真っ黒で艶がある綺麗な角だ。
『えっと、その……ごめん』
机の上に置かれたカレンダーを見れば一週間も時間が経っていて、恐らく皆が来たんだろう、リクルーターの皆からと思えるお見舞いの品がたくさん置かれていた。
『凄いねマルフィの魔法。それにあの茨もすっごい強いじゃないか。そんな魔法に守られてるなんて、マレフィセント様はとても凄いお人なんだね』
撫でながら言うと、耳元でぐすっと鼻を啜る音が聞こえた。微かに水の感触があって、体が小さく震えている。…泣かせちゃったか……
『…心配かけてごめんね。…お帰り、マルフィ』
「っ…、ただいま……っ」
彼を抱き締めて落ち着くまで頭を撫でて、こんなに心配してくれる彼にそこまで大切にされてたんだななんて思って……さらに彼と一緒に居たくなった。涼しい顔をしているけど、隈まで作るほど友達の事を大切に思える人って素敵だと思うんだ。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月31日 1時