ハートのトランプは幸せな夢を見る (ページ13)

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❤だって前から仲良しじゃないかページ13

ジャックside

「応急処置はしたけど、複雑な魔法が絡んでて完全回復は難しいかもしれないな」

ベッドに寝かせられたエースから手を離してそう告げると、マルフィはとても悲しげに俯いた。
マルフィに呼ばれた僕は女王様に事の経緯を伝えてからこの世界にやってきた。僕が着いた時にはエースはお腹に大きな穴が空いてて、マルフィも鴉と人の間みたいな中途半端な姿のままで…色々聞きたいことはあったしすっごい色んな感情が出てきたけど、泣きそうなマルフィを見て僕はまずエースの手当をすることにしたんだ。
トランプ兵の修繕は大変だ。しかも人の体を持ってるなんてあっちゃ凄い大変。まずは核になるハートの1のトランプを取り出して、魔力を注いで自然回復させないといけないんだけど……、エースの体には沢山の魔法が絡まっちゃって出来なかったから、仕方なく僕はエースの肉体の傷を先に治すことにした。

「複雑って言っても眠りの呪いに君の眠りの羽根の魔法、後は鴉の妖精が持つ死の魔法が絡んで取りづらくなってるだけだから、マルフィのご主人さまにかかればすぐ取れるよ」

「だから落ち込まないで」って不安そうにエースを見るマルフィに言うと、彼はぐっと唇を噛んだ。黒い羽根が混じる髪の隙間から見えた緑の目は、後悔と罪悪感で悲しい色を帯びていた。

「…僕は向こうでマレフィセント様とお話してるから、ちょっとエース見ててね」

毛布で身を隠す彼にそう言うと、マルフィは「すまない…」と沈んだ声を漏らした。

「君の恋人を、このような目に遭わせてしまうなんて……」
「いいよいいよ！死の魔法を受けても僕達は死なないし、この程度「君が良くても、私は駄目なんだ」……」

マルフィ……

「…やはり私は、不吉なのだろうか」

そう呟く彼の肩を叩く。こっちを見たその頬を指でつんとつついたら、マルフィはキョトンとした顔になった。

「そんな事無いよ。エースはマルフィの"親友"だろ？親友を助けに行くのは当然のことじゃないか」
「……親友…？」
「そう、親友。だっていつも楽しそうに側に居るじゃん、二人共」

いつも見る二人の笑顔を思い出して言えば、彼はぽろぽろと泣いてしまった。

「…そうか…。だから彼は、私を助けてくれたのか…」

泣きながら笑うマルフィに「後は任せたよ」と残して、僕はそっと二人だけの部屋のドアを閉めた。