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生命力を吸い尽くされ、魂を奪われた躰は、一切焼け焦げた様子の無いまま地面に倒れた。久し振りに食事が出来たランプラー達はご機嫌に宙で踊っている。
《ニンゲンが来るのは嫌だけど、ご飯が食べられるのはありがたいよね！》
《でも、あんまり美味しくないよ？ やっぱりヒルフェが一番美味しい！ すっごく甘くて、それでいて後味がしつこくなくて爽やかなの！》
《流石美食家。俺はピリッとした刺激のある魂が良いな。だから最期まで反抗的な奴が一番好みだ》
ゴーストタイプだからこそ判り合える食の嗜好。他のポケモンが聞けば震え上がりそうなものだが、自分にもゴーストタイプの気があるヒルフェはむしろ同感する。魂にも差異はあるのだ。
「キルリア、これを捨てに行こうか」
《判ったわ。いつもの場所で良いの？》
「うん」
ヒルフェは意識して体内を巡るサイコパワーを操り、ヒトらの遺体を浮かび上がらせる。流石に何人も抱えていくのは辛い。
キルリアの細い手がヒルフェに触れると、パッと景色が移り変わる。ガイスト島と余り変わらない暗さだが、それは夜だからだ。年中暗い彼処とは違う。
フルーフ諸島に最も近い港街。フルーフ諸島に向かう数少ない定期便が出る桟橋に、遺体を無造作に積み上げる。大して持ってはいなかったが、一応金銭類は貰っておく。開発には資金が必須だ。
「さあ、帰ろうキルリア。もう一度お願い」
《ふふっ、［テレポート］しか使えなかったあたしがこんなに頼って貰えるなんて、今でも夢みたい》
嬉しそうに笑いながら、彼女は屋敷のヒルフェの部屋に［テレポート］する。ずっと様子を見ていたロトムは、お帰り、お疲れ様、と笑った。
キルリアは自分だけ［テレポート］して、家族の所に帰ったらしい。ただいま、と返して、諸島全体の管理システムのチェック画面を消す。
「今日はもうお仕事終了？」
「うん……依頼も無いし、もう寝るよ。起きる時間になったら起こしてくれる？」
「OK。ゆっくり休んでね。君は技を使えるとはいえ、僕ら程簡単に使える訳ではないんだから」
ロトムはそう言うと、ふわふわと宙を漂って部屋の外に出ていった。睡眠を邪魔すまいという心遣いからだろう。
この島で数少ないエスパータイプであるイエッサンが整えてくれた綺麗なベッドに潜り込む。普段から太陽の当たらないこの島でどうやったのか、シーツからは太陽の暖かな香りがする。
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