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32:ワンシーン。 ページ32

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「ここ座って食べよう。」





先輩と一緒に出た屋上は確かに空気が美味しくて。

屋上に出るまではバレたらどうしよう。とか
怒られるのは嫌だなとか余計なことばかり考えてたけど

いざ一歩踏み出せば、何かどうでも良くなっちゃった。

開放感があって心地いいし
天気が良くて青空は綺麗だし

それに、隣には日差しを受けて爽やかに笑う先輩がいる。









「先輩はよく屋上にくるんですか?」







屋上でふたり並んで座れば
一気に青春気分を味わえる。

学校の先輩と屋上で一緒にご飯を食べるなんて
少女漫画の世界みたいで浮かれてる。







「今日で3回目かな〜。
最近は保健室も行けなくなっちゃって。
サボれる場所がもうないんだよね。」

「それで職員室から鍵奪ってきちゃったんですか?」

「だって、机の上に置いてあったんだもん。
それにスペアキーっぽいから学校側は困んないでしょ。」





だからすぐにはバレないと思うって
やってる事は中々悪いのに爽やかに笑われると麻痺しちゃうよ。





「Aちゃんのお陰で空腹から抜け出せるよ。」



ほんとありがとね、って
嬉しそうに焼きそばパンの袋を開けてる。



「昨日のお礼したかったのでちょうど良かったです。」

「お礼とか、そういうの考えなくていいんだよ。
それに昨日はAちゃんが取ってくれた
ぬいぐるみのお陰でぐっすり眠れたしね。」


遅刻しちゃったもん。って、
それはぬいぐるみ関係ないんじゃ・・・。



「なんか、先輩って不思議ですよね。」

「俺が?なんで?」

「だって、校内であんまり先輩の姿見ることないのに
急にふらっと現れたり。」

「俺、Aちゃんが思ってるほど不真面目ではないよ?
最近は割と教室にいることが多いし。
まぁ、ずっと同じ場所にいるのが苦手だから
適当にふらついてたりもするけどね。」

「そうなんですね。
授業サボる時はひとりでなにしてるんですか?」




豪快に焼きそばパンにかぶりついてる先輩の横顔は
ドラマのワンシーンみたいで目が離せない。


そんな私に気づいたのか、



「さっきから俺の事見すぎじゃない?」



困ったように眉を下げて笑う先輩を見て
ようやくハッとする。


「すみません、つい。」

「そんなに見られたら、俺がAちゃんの顔見れないじゃん。」

33:特別な場所。→←31:ふたりの秘密。



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くちゃん - はじめまして。ひよりさんの作品めちゃくちゃおもしろくてだいすきですт т ‪‪❤︎こよりさんのほうのパスワードは教えていない感じですか?(ㅠ︿ㅠ)とても読みたいです、、 (10月12日 1時) (レス) id: 248356e3db (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - え!好き!好きです!あのなんて言うんでしょう、…可愛い!!作品自体がなんかもう可愛い!夢主ちゃんの性格好きだし、そしてなにより永瀬様と平野様がかっこいい…!(様付けキモくてすみません)応援してます!! (2022年12月30日 22時) (レス) @page26 id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひより | 作成日時:2022年6月4日 16時

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