３１：ふたりの秘密。 ページ31
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｢ねぇ、このまま教室戻っちゃう？｣
お金を支払ったあと、私からパンとカフェオレを受け取った先輩が捨てられた子犬のような瞳で見つめてくる。
｢教室戻るか、食堂で食べるか悩んでます。｣
教室には、今日はお弁当の結衣と廉がいるけど
廉とは喧嘩中だし私が戻ればきっと空気が悪くなるから
食堂でひとり寂しく食べようかな〜って思ってる。
｢選択肢、もうひとつ増やしてよ。｣
｢え？｣
｢俺と一緒に俺の秘密の場所で食べるっていうのはどう？｣
｢･･･秘密の場所？｣
｢そう。どう？興味出たでしょ。｣
｢まぁ、興味はありますけど。｣
そう答えると、悪戯な少年のような笑みを浮かべた先輩が
私の腕を引いて歩き出した。
｢先輩、どこ行くんですか？｣
｢んー、空気が美味しいところ。｣
空気が美味しいって･･･。
そんな場所、思い浮かばないんだけど。
でも、一緒に階段を上っていくうちに
何となく気づいてしまった。
１年の教室がある4階よりもさらに上へ。
そうなると、行先はひとつしかないんだもん。
｢屋上、ですか？｣
｢そう。｣
屋上に続く分厚そうなドアの前まで来たのはいいけど
生徒が勝手に屋上に出入りするのは禁止されてる。
だから頑丈そうな鍵も取り付けられてるし。
｢入れないですよ？｣
｢それが入れちゃうんだよね〜。
あ、これ内緒だよ？｣
ニヤって笑った先輩がズボンのポケットから
何かを取り出す。
｢もしかして･･･。｣
｢そう、ここの鍵。職員室でパクってきちゃった。｣
へへって笑う先輩に一瞬キュンとしてしまったけど
そんな場合じゃなかった。
｢パクってきたって･･･。バレたら怒られますよ？｣
｢うん。だからバレないようにふたりだけの秘密ね？｣
甘い声で私に秘密を与えた先輩が
スムーズに鍵を開けて分厚いドアを軽々しく開ける。
｢わぁ、いい天気。｣
｢はは、おばあちゃんみたいな事言うじゃん。｣
ドアの先に広がっていた青空に
目を輝かせる私に先輩は満足気に笑っている。
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くちゃん - はじめまして。ひよりさんの作品めちゃくちゃおもしろくてだいすきですт т ❤︎こよりさんのほうのパスワードは教えていない感じですか？(ㅠ︿ㅠ)とても読みたいです、、 (10月12日 1時) (
レス) id: 248356e3db (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - え！好き！好きです！あのなんて言うんでしょう、…可愛い！！作品自体がなんかもう可愛い！夢主ちゃんの性格好きだし、そしてなにより永瀬様と平野様がかっこいい…！（様付けキモくてすみません）応援してます！！ (2022年12月30日 22時) (レス) @page26 id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひより
| 作成日時：2022年6月4日 16時
