検索窓
今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:14,299 hit

24 ページ25

NOside


太宰はポートマフィアを抜けてから、
今までの黒い歴史を洗うため
地下に2年程籠った。
これはその時の出来事である。


荒れに荒れたヨコハマの地下、
ろくな食事も取れることなど無く
太宰の腹の虫はぐうぐうと音を鳴らしていた。

その所為か、地下に屯するチンピラ共に
何時もの彼なら負けるはずのない相手にも関わらず
殴られ蹴られ無抵抗のまま無惨にも地面に倒れ、
挙げ句の果て財布を摺られてしまった。

非常にマズイ。
どんな馬鹿でも阿呆でも解るほど
危機的状況だ。

腹が減りすぎて餓死寸前、
先刻ボコられて怪我だらけ、
立ち上がる気力も労力もない。

ハァハァと短い呼吸を繰り返しているとき、
彼女は現れた。


「だ、大丈夫ですかっ!?」

そう、いつぞや、
ポートマフィア最年少幹部である自分の頬を
なんの躊躇いも迷いなく、ひっぱたいた
容姿端麗な女だった。

驚きを隠せないでいると、
相手も自分に気づいたようで、

「あなたは、……どうしてこんな所に…。」

それは此方のセリフだ、と言いたいところだが
生憎今は腹が減りすぎているのと
体の節々が激痛で悲鳴をあげているのとで
そんなもの問う余裕すら持ち合わせていない。

何も言えずにただただ、浅く呼吸をしていると
女は突然自分を見つめて

「……」

無言で自分の手当てをし始めた。
突然で理解し難かったが、
言葉を発する気力など等にない。

おとなしく治療を受ける。

藍色のリュックから消毒液等を取りだし、
手際よく手当てをする。

「待ってて、食べ物を持ってくるから。」

彼女はそう言うと、地上へとかけていった。


暫くしてから戻ってきた彼女は食べ物を与えてくれた。
空腹が限界を迎えたので有り難く戴くことにした。





「大丈夫、ですか。」

与えた食物を食べ終えた自分に
少し怯えながら話しかけてくる彼女。


「……何故助けたんだい?」

「へ…?」

以前、自らが助けようとした男を、目の前で
撃ち殺した男を何故助けたのか、
と質問した心算だったが

彼女はまるで
自分が質問する意味が分からないとでも言いたげに
此方を見つめてきた。

25→←23



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
27人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

空き地@ktnk - 初コメ失礼します。とても面白いです!更新されることを待っています!頑張ってください! (2020年9月24日 7時) (レス) id: da313b2c7d (このIDを非表示/違反報告)
リンレイ - 凄く面白いですね!更新楽しみにしてます! (2019年10月21日 7時) (レス) id: 551bea7f08 (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - めっちゃ面白かったです。更新復帰楽しみにしてます。 (2018年1月28日 16時) (レス) id: cfe2cc8d41 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作成日時:2017年8月13日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。