後輩だって�� ページ9
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形の悪い野菜を買うようにしてるんだよねって先輩が言うから、スーパーに行ったら形の悪いものを探すようになった。
「せんぱーい、キャベツ何個いります？」
『2つ！』
「んじゃこれとー、」
社員旅行でグランピングなんてアウトドアな会社に入ったのを後悔しても遅く、買い出しに連行された俺、玉森裕太。
Aさんはテキパキとカゴに食材を入れていく。本当によく出来る人だこと。
『あーだめだめ玉森くん。これとこれね』
「え…俺が選んだやつ美味しくなさそうでした？」
『ふは、違うよ。私の勝手な決まりごと』
後はお酒買わないとねってカートを押す先輩。
「決まりごと？」
『え、ああ…んー変って言わない？』
「聞いてみないことには何とも」
『そこは嘘でも変って言わないって言ってよ』
じゃあ言いませんって言うと、んふふって笑う。
何だか楽しそう。
『形悪い野菜を救ってあげたいっていうただの自己満』
「救う？」
『スーパーに並んでる野菜って検品されて並んでるじゃない？その検品をギリギリで通った、ちょっと形の悪い、でもまあ買って貰えるだろうっていう野菜を救うの』
「……へん」
『ふふ、これは身勝手なマイルールだよ』
あ、これちょっと形おかしい！なんて思いながら野菜選んでるってこと？…おかしいのって先輩じゃない？
でもそんなちょっとしたルールを持ってる先輩の価値観が好きだったりする。
「ずっと気になってたんですけど、先輩って本にカバー付けないで読んでますよね？」
『…よく知ってるね』
何で知ってるの？な顔で振り向く。
あーなんか俺ら今、カップルみたいですねって言ったら怒りそう。
「本読んでる先輩を電車でよく見かけるんです。でも何でカバー付けてないのかなって思ってて」
『また聞いちゃう？私のルール』
「聞いちゃいます」
仕方ないなあ、なんて言いながらちょっと嬉しそう。
『よーし買い出し終わらせて車で話そう！』
「え、車で？」
『勿体ぶっちゃう』
「ハードル上がりますよ？」
『それは困るな』
くすくす笑う先輩。
なんか今日本当に楽しそう。俺までくすくす。
結局先輩はブックカバーをつけない話をしてくれなかった。先輩が勝手に助手席でビールをあけて、美味しーって飲み始めたから。
そんな無邪気で楽しそうな先輩を、野菜を買うときに思い出す。それでどうしてブックカバーを付けないのかなってまたモヤモヤする。そうやって少しだけ苦しくなるのすら、俺の中の大切な思い出。
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ナナシ(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます🐿お題いただいてからお時間かかってしまいました😿そこまでドンピシャとは…❕嬉しい限りです♪こちらこそ素敵なお題、ありがとうございました🙆🏻♀️ (2022年5月18日 21時) (
レス) id: 18aa49fd4f (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - ナナシさん最高じゃないですか🥰玉森くんの同期が二階堂くんなのも北山先輩が煙草吸ってるのもわたしが脳内で思い描いてた通りでびっくりしております🥺お題を丸投げしちゃったのに素敵なお話書いてくださって感謝です🫶🏻 (2022年5月17日 22時) (レス) @page5 id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナシ | 作成日時：2022年5月3日 21時
