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「手元にないってことはつまりデスク周りにあるはず」
あ、ほんとだ、と宮田はAさんのデスクに置かれたスマホを指差す。
「…ねえ宮田」
「宮田先輩」
「……みやたせんぱい」
「なーに？たま」
「Aさん居なくなって何分くらい？」
「んー…休憩時間前に声かけようとしたときも居なかったから、30分とか？」
「…Aさんが！！」
急に走り出す俺を見て、宮田が、えー！と叫ぶ。
普段携帯を離さないAさんが唯一携帯を離す理由としたら、資料室に行くこと以外ない。
で、この推理が当たってたらAさんはきっと、
「Aさん！Aさん！！」
資料室に閉じ込められている。
ガンガンと扉を叩く。
あーえーっと、パスなんだっけ。4桁だよね、えーっと、あー…普段資料室に行くほど真面目じゃないことがこんなときに仇になるなんて。馬鹿だー俺。
「たま！何で急に走って」
「宮田！パス！何番だっけ！ほら！」
「え、ああ、えっと」
少し肩が上下に揺れている宮田が、ピッピッと押す。ガチャっと音がして、分厚くて重い扉が開いた。
「Aさん！！」
『わ、玉森くん！』
勢いよく開ければ、分厚い資料を地面に座りながら読むAさんの姿。
「Aさん！平気？何もない？」
『え…なんのこと？』
「え？だってAさん、閉じ込められてたんでしょ？」
『閉じ込められてたっていうか、私がドアに挟むストッパーを置き忘れちゃっただけだから…自業自得と言いますか』
「…ただの挟み忘れ？」
へへってAさんは遠慮がちに笑う。
資料室は中から開けられない不便な仕様になっていて、更にスマホ持ち込み厳禁のルールがある。厳重にした扉のせいで声も聞こえない。ストッパーを挟み忘れると、次に誰か開けてくれるまで閉じ込められるという最悪な演出待ち。
でもそんなミス、Aさんがするとは思わないじゃん！！
「……」
「あ、玉が怒ってる」
『あはは、ごめんって』
笑ってるAさん。何も笑いごとじゃないんだけど！
「いやーでも玉は焦り過ぎじゃない？」
『そうだよ？』
「うるさい！」
『でもありがとうね』
あー…確かに別に30分くらい閉じ込められてても平気じゃん。何してんだ俺。
はあってため息をつく俺を見て、2人がくすくす笑う。
「うざいからまた閉めよ」
Aさんは、え！辞めてよ！って叫ぶ。
何で俺、Aさんがこんなドジなミスしないってこのとき思わなかったんだろう。
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続く
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ナナシ(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます🐿お題いただいてからお時間かかってしまいました😿そこまでドンピシャとは…❕嬉しい限りです♪こちらこそ素敵なお題、ありがとうございました🙆🏻♀️ (2022年5月18日 21時) (
レス) id: 18aa49fd4f (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - ナナシさん最高じゃないですか🥰玉森くんの同期が二階堂くんなのも北山先輩が煙草吸ってるのもわたしが脳内で思い描いてた通りでびっくりしております🥺お題を丸投げしちゃったのに素敵なお話書いてくださって感謝です🫶🏻 (2022年5月17日 22時) (レス) @page5 id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナシ | 作成日時：2022年5月3日 21時
