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ふたり ページ7

誰かが固唾を呑む音や、小さく動揺する声が聞こえる。

「な…なんだ、その得策って。」
「あー…今は言ーわない…」

六原君は、いつもと変わらない態度で言う。
ざわ、と微かに空間が揺らめく。それが、希望によってか不安によってかはわからない。ただ、何か緊張の類いであることは明確だろう。

「なんで?」

弐筱君が、即座に理由を問う。
"今は"言わない…か。六原君の考えは、我々には想像し難い。だからこそ話し合わなくてはいけないんだろうが、どうも話しづらい…六原君は、そんな不思議な空気を纏っているのだ。
そんなこんなで、六原君と正面から話せる弐筱君を、以前に比べてすっかり頼もしく思っていることもまた事実だ。

「だって今、サイコ達は絶対この場面を捕らえてるよ…?ねぇ、サイコとソシオ?」

ソシオ…?そんな人がいただろうか?自分は初めて聞く名が、鼓膜辺りで反響している。
六原君以外の人々は皆そのようで、首を傾げたり、その名を唱えたりと、とても収集のつくような状況では無い。
_いや、1人。六原君の他にも、1人だけ表情の変わらない人がいる。もとが無表情のため気付かなかったが、ここ3日で微かな表情の変化は捕らえていた。
それが今は無い、即ち驚いていないのだ。

「あれー…三河サンも知ってた?」
「…聞いてた。偶然。」

聞いてた…ということは、何処かでそんな話があったのだろうか。それにしては、やはり2人以外はピンと来ていないらしい。

「ふーん…じゃ、今話して良さげなことは話すよ…」

六原君は、ぐるりと首を回して一息吐いた。
何を?彼は何を知っているのだろう?靄が喉元を這いずり回って、窒息してしまいそうに心臓が鳴っている。
こんなにも六原君が話しているところを見るのは初めてだ。「サイコに従う」と言っていた人間が、私達に協力しようとしているのだろうか。だとしたら、それ程嬉しいことは滅多にない。

「実はね、夜な夜な訊いてたんだよ…サイコに、このゲームの詳細。」

確かに、サイコは質問には答えてくれる。顔も見せてくれたし…まぁ、サイコが人間なのかという質問は濁されたけど。
失礼かも知れないけど、六原君とサイコは何処か似ているのかも知れない。訊けば答えてくれることもあるのに、訊こうとする人は少ない。

それにしても、夜な夜な…それは、自分が得をするために?自分のチームが得をするために?それとも全員が得をするために?六原君の話を聴くと、いつも何か謎が浮かび上がる。

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設定タグ:デスゲーム , 裏切り , オリジナル   
作品ジャンル:ミステリー, オリジナル作品
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作者名:キリカゲ | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2019年2月11日 13時

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