ポジション ページ30
「あれ、伍島さん？」
四井さんの部屋の前に立っていたら、まぁ当たり前だけど不審な目で見られた。
と言っても、ドアの隙間から見えるのは顔だけなのだが。
「ごめん、三河さんに見張り頼まれてて」
そんなことを言ったら、三河さんのイメージが悪くなるかもしれない。慌てて説明を付け加えた。
「ええと、三河さんが六原君のこと知りたがってて。六原君、不思議な人だから…
それで今も一緒に共同スペースにいるみたいなんだけど、いつ三河さんの部屋が不法侵入されるかわからないから一応」
ここからなら自分の部屋も三河さんの部屋も見張れるから、と応急処置の笑顔で伝える。四井さんは、安心したように笑った。
「そっか、お疲れ様」
ドアを閉じるかと思いきや、会話は続行されるらしい。
「にしても暇だよね。テレビも本もないし、最早ゲームって言うかなぁこれ」
一理ある。このゲームに関しては、まだまだ謎が多い。
サイコ曰く"魔界放送"の企画ということ。
36人が12人ずつ分けられているということ。
3日に1度の推理を4回行うこと。
食事に毒は仕込まれていないこと。
サイコの容姿は人型の美少女ということ。
これくらいの情報しかないし、刃向かうことすら難しい状態だ。刃向かったとして、その後の事が良い方向に進むとも考えにくい。
「そうだね、早く帰りたいよ」
「私達がもといた世界で、私達って今どう扱われてるんだろうね？行方不明とか？」
行方不明か…家族は心配してるに決まってる。
私に兄弟姉妹はいないが、母親は体が弱い。父親は至って普通だが、母親のこともあって普通より若干心配症だ。
「とにかく…今はサイコを感化させない方がいいよね」
そういえば、さっきのお礼言ってないや。私がサイコの姿を知りたいと言ったのに、上手いこと丸め込まれそうになった時のこと。
「さっき、ありがとうございました。私だけじゃ、きっと黙り込んでた」
四井さんは一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐに微笑んで頷いた。
「いいよ、サイコって圧あるよね。それに、私もサイコの姿見てみたかったし」
四井さんは、いわゆる母親的なポジションだと思う。頼れて明るくて、周りに合わせることが出来る。
弐筱君は父親みたいだな、一緒にいて落ち着く感じ。三河さんは大人びてるから長女、七瀬は子供だから末っ子かな。
…私はなんだろう。
「にしてもサイコ、美少女だったね」
四井さんは、ちょっとばかり不機嫌そうに目を背けた。
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キリカゲ(プロフ) - なっちさん» コメントありがとうございます…！お褒めの言葉を賜り光栄です。この小説に需要があったということに感激しました…尊敬だなんて勿体無いくらいです。ほぼ自己満足状態ですが、少しずつ続編の更新もしていきますので良かったら宜しくお願いします！ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 696f81e61f (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 続編に行っているようなので読まれないことを承知で書きますが、この小説、とても好きです。私はこういう複雑な人間感情を書いた小説を面白いと感じるのですが、こんなに複雑で面白い感情の小説をかける作者様、尊敬します。これからも頑張ってください！ (2020年12月28日 16時) (レス) id: 8cb8225128 (このIDを非表示/違反報告)
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