打開策 ページ2
「裏切り、ゲーム…？」
予定表にそんな文字はないが、サプライズイベントだろうか。
誰も落ち着きがなく、不思議な空気感だ。
「なんだろうな…」
七瀬と顔を見合わせた時、唐突に明るい声が響いた。
『はいはい、皆さん落ち着いて! 私は説明係のサイコです! 』
知らない声だったが、「サイコパスかよ」と突っ込む者が隣にいるだけ、私は冷静になれた。
『これから、裏切りゲームを始めます! この様子は魔界放送で生放送中ですよ! 』
魔界放送…変わった名前だが、なんなのだろう。
『まず、皆さんが裏切りゲームに参加することになった理由をご説明します! それは、魔界放送番組企画部の抽選に当選したからです! 』
…やっぱりよくわからないが、サイコとやらは私達より上位の存在である気がする。
「おぉい! 誰か、ドア開けてくれ! 」
前のドアがガタガタと揺れていた。
「先生! 」
そこには見慣れた担任の姿があり、一同胸を撫で下ろした。
「全く、こんなサプライズ体に悪…」
力自慢の生徒の顔が曇った。
「開かない…？」
『勿論! この空間を閉鎖しましたから! 』
再び、空間がざわめいた。とうとう様子がおかしい。
少しでも私にできることは……
そうだ。見たところ窓に異常はない。もしかすると割ればいいんじゃないか？
「おい、伍島？」
畳まれたパイプ椅子を持つ私を、皆戸惑いながら見ている。こんなときなら目立つのも仕方無い。
よし、これで力いっぱい…
「…っ!! 」
やった、ヒビが入った…!
＿が、ヒビはみるみるうちに治っていく。
『修復完了、っと! 』
皆、顔面蒼白だった。男女問わず呆気に取られている。
『でも…36人は多いですね! 分けます! 』
私達の様子はお構いなしに、サイコとやらは話を進める。人間じゃないようだ。
「ちょっと待ってください」
嗚呼、この聞きやすい声は。
「僕らの話も、聞いて下さい」
弐筱君。
「そ、そうだよ! 理不尽だ! 」
「拒否権は?! 」
弐筱君に続き、皆声を上げる。
こんな時なのに…格好良く見えてしまった。
『あるわけないじゃないですか! 』
冷酷な言葉に、場が一瞬で静まった。くそっ…何かないのか…?!
急に、感じたことのない不快感に見舞われる。
『では、分けますね! 』
一瞬、きつめの甘い匂いが鼻孔を刺激する。次の瞬間、私の意識は途絶えた＿
「…っ、Aさん! 」
「…弐筱、君？」
辺り一面、真っ青な部屋。サイコの仕業か。
「七瀬! 」
「伍島! 起きたか! 」
近くには数人のクラスメイトの姿があった。
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キリカゲ(プロフ) - なっちさん» コメントありがとうございます…！お褒めの言葉を賜り光栄です。この小説に需要があったということに感激しました…尊敬だなんて勿体無いくらいです。ほぼ自己満足状態ですが、少しずつ続編の更新もしていきますので良かったら宜しくお願いします！ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 696f81e61f (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 続編に行っているようなので読まれないことを承知で書きますが、この小説、とても好きです。私はこういう複雑な人間感情を書いた小説を面白いと感じるのですが、こんなに複雑で面白い感情の小説をかける作者様、尊敬します。これからも頑張ってください！ (2020年12月28日 16時) (レス) id: 8cb8225128 (このIDを非表示/違反報告)
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