89(大介Side) ページ39
人並みに交際経験がある俺だが、今の涼太ように相手にこんなに夢中になったことは一度しかない。
俺は人よりもとりわけ厳しい親の教育とは似ても似つかない元来のユーモアセンスがあったので、そこらへんでスマホを弄っているだけで、女の子たちは勝手に寄ってきた。
俺は寄ってきた彼女たちの中から好みの見た目の一人を選び、少し食事に誘ったり声を掛けたりするだけでよかった。
そうすれば後は勝手に事が進み、恋人が出来るのだ。
しかし、俺は根が真面目だったので直ぐにその関係が嫌になった。
何故なら相手は自分の見た目やステータスに引き寄せられただけで、彼の内面を見てくれる人間は居なかったし、俺も同じように相手を美人かそうじゃないかだけで選んでいたので、薄っぺらに感じ、罪悪感を抱くようになったのだ。
学生時代、俺は彼女が出来ても直ぐに別れを切り出し、またすぐに違う女の子に言い寄られ、それに応える、といった自暴自棄な生活を送っていたが、就職して社会人になってからはキッパリとそれを止めた。
社内でも部署問わずもてはやされ、様々な女性からアプローチを受けたが、俺は本気で好きになった人とだけ付き合おうと心に堅く誓って、全ての誘いを丁重にお断りしてきた。
だが、しばらくして偶然に蓮と一緒に住むようになってから、奈落の底に転げ落ちるように彼に恋をした。
彼が男であることは全く問題なかった。
目黒蓮という人間の全てに惹かれ、全てを愛そうと決めたのだ。
そして今、新しく好きな人ができて、その人に合わせるために彼を追い出した。
新しく好きになった、宮舘涼太に何度も熱烈なアプローチをして同居まで漕ぎつけた。
涼太と住む前は中々仕事が安定しない義兄弟の蓮に首ったけだったが、俺は涼太と暮らすために職が定まっていないあの子を追い出したのだ。
彼には自分の都合で悪いことをしたなぁと、思わなくもないのだが、彼は彼で俺が涼太に惚れていることを知っており、すぐに快諾してくれたのであまり気にしないようにしてきた。
それに彼は出て行って直ぐに、俺のことなど忘れてしまったように違う住居を見つけたようである。
だったら、もう彼には自分は要らないのではないか、と思ったのだ。
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雛(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます！本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (
レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます！リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです！宜しければ書いてくださると嬉しいです！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作成日時：2021年9月19日 20時
