65(涼太Side) ページ15
正直「汚い」以外の表現は見つからないと思う。
だがまあ、それをどう捉えるかはそれぞれの自由だ。
彼がそう思うのなら、彼の中ではそれが正解なのだろう。
涼太「でも、今の俺の方がいいでしょ？毎日風呂入ってるからいい匂いがするし、髪もサラサラだし、髭も毎日剃ってツルツルですし。まあ、不細工なのは変わりませんけど。」
大介「何言ってんのさ！涼太は不細工じゃないよ！かっこいいし、綺麗だと思う。」
彼が食い気味に抗議してくるので、俺は思わず顔のパーツを中心に寄せた。
30手前の成人男性が男相手にサラッと言う言葉じゃない。
しかも相手も30手前の成人男性だ。
でも、もしかすると彼みたいに素直になれていたら今この瞬間、俺の目の前にいた人は、きっとあの人だったのだろう。
俺が言う”不細工”は外見だけの問題ではない。
昔の温度や匂いに惑わされて、いつまでもそれに縋っている自分を形容した言葉なのだ。
他の人と一つ屋根の下で暮らしても、決して忘れることのできない、醜い執着心を持つ俺は決して彼が思うほど綺麗な奴などでは無かった。
涼太「今日は飲み過ぎじゃないですか？それか、目が悪いのかもしれませんね？」
大介「えっ？まだ二本目だけど……」
涼太「ほら、二本も飲んでる。」
大介「いつも俺二本は余裕で飲んでるけどなぁ？あ、もしかして照れてる？！照れ隠し？！」
彼がニヤニヤして揶揄ってきたので、俺はさっさと寝ることにした。
この人に付き合っていたら、気が緩んで余計なことまで口走ってしまいそうだ。
例えば、あの人のこととか……
大介「りょうたぁぁぁ？もう寝るの？これからお前の大好きな番組始まるじゃん。」
涼太「それは録画してるのでまた明日見ます。」
大介「涼太は抜かりないね。明日も早朝出勤？」
涼太「始業が朝の七時半なので仕方ないです。」
大介「それはフレックスタイム制が施行される日を待つしかないね。おやすみ、また明日。」
俺は手を振ってくれた彼に軽く会釈してからリビングを出て、自室のベッドに倒れ込むように沈み込んだ。
涼太「はあ、疲れた……」
俺は電気を点けない。
真っ暗闇が自分には合っている気がするから。
目を閉じると体が闇に溶けて宮舘涼太という個体が消えるような気がする。
俺はこの感覚が好きだった。
その瞬間だけ、あの人の側に居れる気がして。
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雛(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます！本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (
レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます！リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです！宜しければ書いてくださると嬉しいです！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作成日時：2021年9月19日 20時
