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柊side___
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そんなところで、自分のシャンプーの中身が空っぽなことに気付き、
そしてまたそれの詰め替え用がリビングに置きっ放しであることにも気付き、
ため息。
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その時、
『…一颯さん、シャンプーの詰め替え、置きっ放しだったけどいる?』
というドア越しに聞こえるAの声。
「ちょうど良かった!
今、空っぽだったと思ってたんだよ。
ドア、開けていいから
こっちに渡してくれるか?」
そう言いながら、
まさか全裸で浴室に立っているのはどうなのか、
と思った為、再度湯船に浸かる。
『はーーい。…じゃあ、失礼します。』
浴室のドアを開け、
詰め替え用を手に持ったAが一歩踏み出したかと思うと、
『……ひゃ、!!』
滑って、前にバランスを崩す。
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咄嗟に湯船から出て、立ち上がり、彼女を抱きしめると、
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__バッシャーーン!
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風呂とは思えないほどの、大きな水飛沫が上がる。
俺はAを抱きしめたまま、背中から湯船にダイブしていて。
俺は裸だからいいものの、
Aの部屋着はびしょ濡れ。
多分倒れた時にレバーを捻ってしまったのだろう。
いつの間にやら、こちらに降り注ぐシャワーの雨。
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『……ッはぁっ、』
俺は顔の水滴を手のひらで拭い、
彼女の顔の水滴も軽く拭う。
「……っ大丈夫か?」
Aはコクコクと頷いた。
『滑っちゃって……っ、びっくりしたぁ、』
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俺と向かい合わせで、跨るように座る彼女は
俺の肩に掴まったまま、
こちらを見据えていて。
風呂に、響くように重なる、シャワーの音と、ふたりの荒い息。
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変に高揚してしまうこの空間に、何か名前をつけて欲しい。
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『……、ッ、』
「……、っ、」
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2人の呼吸が重なった時、
どちらからともなく、キスをした。
降り注ぐシャワーにも目もくれず、
俺たちは、口づけに夢中だった。
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求め合い、感じ合い、
いつの間にか2人の身体の距離は密着し、
Aは俺の頭を抱きしめるように、
ぎゅっと更に距離を縮めた。
息もつかせないこの高揚感に、呼吸をするのも忘れるくらいだ。
このまま、堕ちていいと思った。
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無題(プロフ) - 伝えるのは遅いけど、この作品、そして作者様に出会えてよかったです(T . T)何度泣いたかとか!2人がいつまでも幸せでいてほしいです(T . T) (2023年2月21日 5時) (レス) id: 98ac8a6dbe (このIDを非表示/違反報告)
sewakahe114(プロフ) - 初見です!一気見しました!この作品に出会えて良かった、もう、愛すら感じました!1回、このコメントに長文になってしまいますが、今の気持ちを書こうとしたら超えてしまったので、少ししか伝えられませんが、この作品に出会わせて下さり、ありがとうございます! (2022年10月19日 1時) (レス) @page50 id: 678a65cdca (このIDを非表示/違反報告)
おもちちゃん - いっきに読み切りました!本当に最高でした。素晴らしいお話をどうもありがとうございます。最後の番外編が本当に最高でした。多分近いうちに2周目、3周目に戻ってくると思います。ほんとにありがとうございました!!!泣きそう!!!!! (2021年11月14日 10時) (レス) @page50 id: 82b8ac7ab6 (このIDを非表示/違反報告)
storm - いやぁ…何回読んでもいい話!!!ドラマ10話+番外編!長いはずなのに6周目がただいま終了いたしました…。飽き性の私が同じ作品を何回も何回も読み返していることに自分でも驚き。この作品を作ってくださり、ありがとうございます!7周目、いってきます!!! (2021年8月25日 23時) (レス) id: 5bdda0872c (このIDを非表示/違反報告)
星来(プロフ) - コメントするには遅いですが感動、勢いのままに失礼します。アーーーー!!!泣きそうです…最高。このドラマは本当に、生涯何度も見返して生きる教科書にしたい。そして作者様のストーリーも、命と愛とたくさん教わりました。素敵な作品をありがとうこざいました!! (2021年8月17日 22時) (レス) id: d2b3da06c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2019年3月15日 23時