. ページ38
柊side___
二人で風呂掃除を終え、
Aには先に入るように伝えた。
.
その際に、
「あ、そうだ。一緒に入るか?」だなんてふざけて聞くと、
彼女は直ぐにボッと頬を赤らめた。
『もう!!』と俺の腕を軽く殴ると、
ひとり浴室に行ってしまう。
そんな様子も可愛くて、愛しくて、
ひとりになって、少し寂しさが残るリビングで、
口元をおさえつつ
にやけてしまったことを彼女は知らないであろう。
いや、知らないであってほしい。
.
それから数十分かして、タオルで髪を拭きながらリビングに入ってきたAの姿に胸が高まる。
濡れた髪に、火照った頬。そしてシンプルな部屋着。
それだけでいつもの彼女が大人びて見えて、
その上色っぽく感じてしまって。
「……っA、髪乾かすからおいで。」
彼女を足の間に座らせ、ドライヤーで髪を乾かす。
あの時、あの日、
美術準備室でもこんなことがあったなあ、なんて考える。
『..一颯さん、お風呂入ってきたほうがいいんじゃない?
冷めちゃうよ。』
「Aの髪、乾かしてから入る。
..なんか、懐かしいなぁ?と思って。」
そう言うと、彼女も何かを思い返すように瞳を閉じた。
きっと、おなじシーンを思い出しているんだろうな、と感じた。
.
.
.
誰かが入った後は、風呂の蒸気で浴室があたたかいなと身にしみて感じる。
.
「今日は疲れただろ。
先に寝てていいよ、」
『…いや、待ってるっ。』
.
さっき交わしたばかりの会話に胸が踊る。
上がったら、Aが待っててくれている。
早く上がらなければ、と急ぐ。
.
.
風呂に入っている時間も惜しいことがあるんだな。
普通ゆっくり入りたいと思うものだろう。
彼女といると、本当に全部が彼女を中心に回ってしまう。
それだけ、彼女に首ったけなのだ、
…ってこれは前も言ったか。
……それほど惚れ込んでいるということだ。
4122人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
無題(プロフ) - 伝えるのは遅いけど、この作品、そして作者様に出会えてよかったです(T . T)何度泣いたかとか!2人がいつまでも幸せでいてほしいです(T . T) (2023年2月21日 5時) (レス) id: 98ac8a6dbe (このIDを非表示/違反報告)
sewakahe114(プロフ) - 初見です!一気見しました!この作品に出会えて良かった、もう、愛すら感じました!1回、このコメントに長文になってしまいますが、今の気持ちを書こうとしたら超えてしまったので、少ししか伝えられませんが、この作品に出会わせて下さり、ありがとうございます! (2022年10月19日 1時) (レス) @page50 id: 678a65cdca (このIDを非表示/違反報告)
おもちちゃん - いっきに読み切りました!本当に最高でした。素晴らしいお話をどうもありがとうございます。最後の番外編が本当に最高でした。多分近いうちに2周目、3周目に戻ってくると思います。ほんとにありがとうございました!!!泣きそう!!!!! (2021年11月14日 10時) (レス) @page50 id: 82b8ac7ab6 (このIDを非表示/違反報告)
storm - いやぁ…何回読んでもいい話!!!ドラマ10話+番外編!長いはずなのに6周目がただいま終了いたしました…。飽き性の私が同じ作品を何回も何回も読み返していることに自分でも驚き。この作品を作ってくださり、ありがとうございます!7周目、いってきます!!! (2021年8月25日 23時) (レス) id: 5bdda0872c (このIDを非表示/違反報告)
星来(プロフ) - コメントするには遅いですが感動、勢いのままに失礼します。アーーーー!!!泣きそうです…最高。このドラマは本当に、生涯何度も見返して生きる教科書にしたい。そして作者様のストーリーも、命と愛とたくさん教わりました。素敵な作品をありがとうこざいました!! (2021年8月17日 22時) (レス) id: d2b3da06c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なな | 作成日時:2019年3月15日 23時