【短編集】うわっ...私のレート低すぎ...？【pkmn】 (ページ8)

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入れ違いの想い　トウヤ　(失恋) ページ8

「トウヤさん！お手合わせ願います！！」

　僕にそう声をかけるのはA。この子は会う度に勝負を仕掛けてくる。全然嫌ではないのだが、勝負を仕掛けられる度にいつも複雑な気持ちになる。

「いいけど、僕とばっかりでいいの？昨日も対戦したし」

「強くなるには、強い人と勝負するのがいいって聞きましたから。私が勝つまで何度も挑みますよ......あとですね、トウヤさんはポケモンバトルを教えてくれたから、尊敬してるんです。尊敬してる人となら、何度だって戦いたくなりませんか？」

　"尊敬してる"、か。なんとも歯痒い。"好き"に近くて、しかし遠い。嬉しい気持ちより、どうしても複雑な気持ちが勝ってしまう。

「__そう、だね。僕にもわかるかも」

　確かに、僕はAにポケモンバトルを教えた。ルール、道具の名前は勿論、最初のポケモンを捕まえる手伝いもした。"ポケモンバトルは楽しいから、ハマってくれる人が増えればいいな。"当時はたったそれだけの思いだった。

「良かった、わかってもらえて......でも、やっぱり迷惑でしたか？ほぼ毎日ですもんね......あはは」

　それが今は、バトルよりも彼女を意識している。会う回数が多いのは、僕が彼女がいそうな所に狙って行っているから。彼女に追いかけられているわけではないし、むしろ僕が追っている方だ。だって、Aのキラキラした眼が、ひたむきに頑張る姿が、僕の心を捉えたんだ。

「ううん。迷惑じゃないけど、たまには落ち着いて話したいな。それに、今はバトルの準備が出来てないし」

「そうですか、そうですよね。いつも対戦してくれてありがとうございます、トウヤさん」

　意外にもすぐに引き下がった彼女に、内心驚いた。案外簡単に訪れた、長く話せる機会。意を決して、僕は彼女に想いを打ち明けることにした。

「......あのね。僕もポケモンバトルは好きなんだ。だから、君に色々教えたんだけど。僕を見かける度に話しかけてくれるけど、君は会う度に強くなってて」

　ゆっくりと話す僕に何かを察したのか、彼女は僕を見つめたまま聞いてくれている。

「会う度に、もっと君に会いたくなるんだ。君の頑張る姿に惹かれた。僕、君が好きなんだ」