【短編集】うわっ...私のレート低すぎ...？【pkmn】 (ページ7)

今日:15 hit、昨日:7 hit、合計:14,190 hit

続き　ページ7

「......は、なんで、私はそんなのに、負け続けて......」
　悔しい。今までの自分を、馬鹿にされたようだった。息が震えて、視界が涙で滲む。一度でも彼に勝ちたくて悩み続けた私の旅路に、意味は無かったのか。彼に指で涙を拭われても、抵抗する気すら起きなかった。
「泣かないで......ねえ、どうしたら僕のことを好きになってくれる？君には、君にだけは嫌われたくないよ......」
　居なくなってほしい。二度と関わりたくない。でも、どうせこう言っても変わらない。嫌われたくないと言う割に、彼は無理やり私を押さえつけている。どうせ彼が望む言葉以外は彼に伝わらない。
「......はは、もう、無理か。もう、好きになれない、よね」
　彼が諦めたように言う。ポケウッドのスターになれるくらいの、綺麗な顔立ち。彼は、自虐的な笑みもよく映えるらしい。
「でも、バトルの時のAの瞳、好きだよ。Aと一緒に何かするの、楽しかったし......それに、あんなに僕を見てくれたの、初めてだよね。いつもと違った真っ直ぐな目、すごくときめいちゃった」
「......そう」
　恍惚とした表情で、私に触れる。頭、髪、そして目の周りをなぞり、最後に頰を持つ。なすがままでいると、突然顔が近くなった。唇と唇が触れても、私は何もしない。
「......えへへっ。もう、僕のものでいいよね、A......何も言わないなら、食べちゃおうかな」
　嬉しそうに、楽しそうに話す。なんだかどうでもよく感じて、返答すら考えられない。
「......A？もしかして......ちゃんとバトルはやめるよ？ポケウッドも君が観ないならもういいし。だから、そんな浮かない顔しないで。君のためなら何だってするし、何だってやめるよ。だから、せめてさ。せめて、ずっと僕と一緒にいてね」

入れ違いの想い　トウヤ　(失恋)→←続き