【短編集】うわっ...私のレート低すぎ...？【pkmn】 (ページ27)

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　キョウヘイver. ページ27

今日という日は、やっぱりいつもより人を疑って過ごしてしまう。果たしてキョウヘイは嘘をつくタイプなのか。会った時からずっと意識して話を聞いているが、特に変な素振りは見せない。
「____でさ、今日だけで五回も騙されたんだ！！もう誰も信じられないよ......」
　そう、変な素振りは無いのだが。こんな彼の様子を見る限り、嘘をつけるタイプにはどうしても見えない。むしろ騙される方だ。今日は既に散々な目にあったらしい。私も彼に嘘をつくつもりでいたが、少しだけ同情の念がわき起こってしまった。
「あははっ。どういった嘘だったの？」
「うう、笑わないでよ！......ええとね、メイは『バトルサブウェイにトリプルバトルが追加される』だったな」
「え、それは私も信じちゃうかも」
「だよね！？......そうだ、A用の嘘は考え中だって言ってたよ。気をつけてね」
「あ、ありがとう」
　それ言っちゃうんだ。でも、それくらい彼は嘘が苦手だという裏付けがとれた。私の目が節穴じゃなければ、本当に親切のつもりで言っているように見えるのだ。
「トウヤさんのは本当にすごかった......ものすごく焦っちゃったもん」
「へえ、どんな感じだった？」
　さっきと同じように教えてくれると思えば、キョウヘイは私を見つめたまま固まる。
「......キョウヘイ？」
「え、えーと......」
　気まずそうに目を逸らされるが、それでも彼が言い出すのを待つ。
「......Aに、告白したって」
　予想外のものが来て驚いたが、キョウヘイが言い渋るのにも納得した。不安げにこっちを見てくる。まだ嘘だということも信じきれていないのだろうか。
「ああ、されたよ？知ってたんだ」
　思い出すように演技をしてみた。トウヤの嘘に乗っかってみたが、流石に無謀だったか。言ってすぐに反省する。しばらく彼の様子を観察して、嘘が成功したかを確かめてみると......キョウヘイは、まだ固まったままだ。成功しているのかよくわからない。
「嘘、だよ」
　空気も固まったので、すぐにばらしてしまった。すると、彼は自分の服を胸辺りでぐしゃっと掴んで、息を吐き出した。
「はぁ......っ、よかっ、た」
「だ、大丈夫......？」
　嘘が効いている。多分、騙されてはなかったんだ。苦しそうな様子が不安で、つい私の手が空中を泳いでしまった。その手を彼に掴まれる。
「そういうの、心臓に悪いからやめてよ！」
　......なんだか、彼が私に抱いている感情がわかってしまった。