【短編集】うわっ...私のレート低すぎ...？【pkmn】 (ページ26)

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　トウヤver. ページ26

____ああもうっ、僕から言うつもりだったのに
　私が嘘をついた時、トウヤはそう言った。
　勿論、嘘だって真実を言った。「そんなのわかってる」と返されて、その彼の動揺と隠すのを諦めて潔く開き直る態度に、自分の言った言葉の重みを知った。
　____Aは、僕と付き合ってくれますか
　勝負の時のような真っ直ぐな視線が、あの時確かに向いていた。それが私に向いているのに驚いた。"勝ちたい"気持ちではないものがこもっている、その瞳にも驚いた。

　結局付き合うことになって、今に至る。詫びの気持ちと、人生経験の一つになるだろうという気持ちでその場で答えを出した。
「付き合う前にさ、カップルに間違えられたこと結構多かったよね」
　トウヤはニコニコして私に話しかけてくる。
「そうだねー...」
　どうしても感じる違和感は、やはり前よりも距離が近いからか。彼のどこか掴めなくなった言動と、ついてしまいそうになる肩と腕。自分から寄ったつもりは本当に無い。いつの間にか距離が詰められていたのだ。

　ふと男女のペアに挑まれた勝負に、私が足を引っ張りつつも勝つことができた。彼の勝負の時の様子はいつも通りで安心した。
「A、やったね！」
　相手への挨拶が終わると、また落ち着かない気持ちになる。しかし、よくよく考えてみると、私達の行動に目立った変化は無い。一緒に街を歩いて、時にバトルをして。やっている事は前と変わっていないのだ。それに気づいて、恥ずかしくなってしまった。
「A？どうしたの？」
　目を合わさず黙りこくるのはやはり不自然だ。彼は私の方へ踏み出して来た。
「......なんだか、すごく、変な感じで」
　急にこんな事を言い出したのに、彼は私がどんな風に思っているのかを察してくれたようだった。彼が「そっか」と呟いたのが聞こえた。
「そうだよね。やっぱり、慣れないよね」
　普通の友達に戻ることって、できない？......なんて、言えるわけがない。でも、どうしても言いたくなる。
「......A。やっぱり、後悔してる？」
　後悔、してるんだろうか。
「......前みたいに、戻りたいって思って」
　今の掴みきれなさが、もどかしい。なんだか不安になってしまう今が嫌だ。
「僕は戻りたくないよ。もし戻ったら、僕はどうしたらいいの」
　ああ、どっちにしろ、もう戻れないんだ。彼の顔を見ると、やっぱり私を見ている。
「......Aが落ち着けるまで待つよ。だから、一緒に居させて」