【短編集】うわっ...私のレート低すぎ...？【pkmn】 (ページ25)

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　コウキver. ページ25

今日はエイプリルフール。コウキに「好きです」と言ってみた途端、彼の眉が上がった。
「嘘をつくにしたって、マナーがあるだろ」
「......はい」
　彼は明るい性格だが、真面目な一面もある。間違ったことに対しては冷静に、そして鋭いのだ。
「そういう好きだとかは、今までの人間関係にすごく影響するだろ。今日がエイプリルフールだからって、嘘でも言うことじゃない」
「仰る通りです......」
「まあ、言質はとれたからいいよ」
　注意を言い聞かせる声から一変して、彼の声が軽くなった。私がそれに戸惑っていると、彼は両手とも私の手を掴んできた。
「嘘でも、好きって言ってくれたし」
　コウキがそう言って微笑んだ。今この状況で笑うのは、大体は怒っている証拠だ。
「あの、コウキ、もうしないから」
「Aってば、僕が怒ってると思ってるでしょ！大丈夫だよ、本当は好きだって言ってくれて嬉しいんだよ？」
　清々しい笑顔で私の手を掴んで離さない。私は、もうとっくに自分の言った言葉の意味は理解している。彼は何をしようとしてる？想像できるのは私の言った言葉を利用するくらいしかないが。
「......あの、コウキさん？もしかしてだけど」
「ね、僕たち両想いだよね」
　"言質はとれた"ってやっぱりそういうことらしい。説教の一環？逆にからかわれてる？もし、どちらでもないなら......それが一番怖い。本当に後戻りできない。
「僕、Aが好きで......Aが好きだって言ってくれた時、正直どきっとしたんだ。その後はちょっと怒っちゃったけど」
　ここまで言われて、"言質はとれた"の本質をやっと理解した。案外彼は本気らしい。そう、要は"好きって言った責任をとれ"ってことだ。
「男を弄んだんだから、これくらいはいいだろ？」
　コウキのことは嫌いじゃないし、これくらいは全然いい。覚悟を決めなくてもすんなり受け入れられる。
「ねえ、コウキ。好きだよ」
「反省してないよね、それ」
　むすっとした顔だけど、少し赤い。
「A、付き合ってくれるんだよね」
　不安げに私を見る。不慣れなのか、最後まで強気な姿勢をとり続けられていない。彼を「かわいいな」と思ったことは何度かあるが、今回は心の奥をくすぐってくる。
　____本当に好きになってしまったかも。と本人に直接言うのは、まだ早いか。
「コウキが嫌になるまで付き合うよ」
「......嫌にならなかったらどうするの？」
「それもいいかもね」
　私が言うと、彼はきょとんとした。