【短編集】うわっ...私のレート低すぎ...？【pkmn】 (ページ24)

今日:8 hit、昨日:7 hit、合計:14,183 hit

　ユウキ ver. ページ24

「そうそう、ホエルオーって進化するらしいよ」
　突然ユウキがそう言った。そうか、ホエルオーってまだ進化が残ってたんだ。姿が気になるな。また更に大きくなるんだろうか。ユウキ達ってポケモンに詳しいから、情報が早いな......なんて一瞬納得しかけたが、それが嘘だとやっと気づけた。
「......去年に比べるとえらく地味な嘘だね！？」
「あっはは、全然思いつかなくてさ」
　去年、彼が言ったのは「隕石が降ってくるらしい」だ。当時は打ち明けるように言われて、話半分に聞いていたのだが。
「ホエルオーがまた進化したら、どんな風になるんだろ」
「やっぱり、もっと大きくなるんじゃないか？」
「思ってたことそのままユウキに言われちゃった」
「そりゃあ、でかくなるは真っ先に思いつくだろ」
　会話の途中、彼は笑顔を絶やさない。ユウキの笑顔は、見てるだけでこっちも嬉しくなる。
「好きだなぁ、ユウキ」
「......へ？」
　空気が固まって、今自分が何を言ったのかを思案する。自分でも驚くくらい冷静で、この場を乗り切る方法をなんとか思いついた。そうだ、今日はエイプリルフール。気持ちを言うにしたって、こんな雑な流れで伝わって欲しくない。
「あ、えーっとね」
　嘘だよ！と言おうとしても上手く言えない。それどころか、彼の反応が怖くなってきた。
「......はっ、今の嘘か！！言うのが急すぎるだろ！？」
「......そう！いやあ、やっぱり突然すぎたよね！全然上手く出来なかったよー」
　心臓がバクバクして、合わせるのでやっとだった。でも、上手く乗り切れた。もう今年の嘘だってことにしてしまおう。
「はは、嘘だよな......うそ、なんだよな」
　確認するように言われる。
「うん、嘘だよ」
　ごめん、と言われるのが本当に怖くて、結局嘘をついてしまった。

「じゃあ、もう帰るね。ホエルオーの進化見つけたらすぐ教えてよ」
「まだ引きずってたのかよ！？......まあ、見つけたら一番に教えるよ。またな」
　お互いに手を振って、それぞれ別の方向へ歩き出した。夕陽のせいなのか、いつもより寂しい気持ちが強い。しみじみとしていると、急に早い足音が聞こえてきた。A！と名前を呼ばれたので振り返ると、ユウキだった。
「なあ、さっき好きだって言ったのは、本当に嘘だったのか？おれさ、Aのことが好きで、でもやっぱ信じられなくて」
「......嘘じゃないよ」
　私がそう言うと、彼が嬉しそうに笑ってくれた。本当を言ってるのに、とても緊張する。