【短編集】うわっ...私のレート低すぎ...？【pkmn】 (ページ19)

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沢山こまらせる　キョウヘイページ19

「Aさんっ！」
　キョウヘイが私を見つけ、街中の人々の間をすり抜け駆け寄ってくる。一度告白を断ったというのに、めげずに私の所へ来られるのには尊敬の念さえ抱く。
「キョウヘイじゃん、どうしたの？」
「何もないですけど、Aさんを見かけたので！えへへっ、今何してるんですか？ぼくもご一緒してもいいですかっ？」
「お店を見て回ってただけだから、大丈夫だよ」
「やった！」
　頬を赤くして笑う彼のことを"かわいい"だなんて、前なら思いもしなかった。そんなことを考えつつ、手を軽く伸ばし、初めて彼の頭を撫でた。
「......っ！」
　一瞬彼が硬直したのを見て、一旦冷静になった。自分と彼の関係を、そして彼が私をどう思っているのかを、さっきは全部忘れてしまっていた。
「あ、ごめん、キョウヘイ」
　彼の頭から手を離した。
「......A、さん。ぼくのこと、子供扱いしないでくださいよ」
　一応私より年下だとはいえ、手や足は私より大きい。そんなに歳は離れていないとわかっているはずなのに、やってしまった。私から見てもわかるくらい苦しそうに、キョウヘイが笑っている。
「......してないよ」
「......嘘だ。絶対、そんなの嘘だろ」
　吐き捨てるようにキョウヘイが言った。口に出すつもりは無かったのか、言った直後に彼がはっとして焦りだした。
「あっ、えっとっ。すみません、Aさん......気にしないでくださいっ、Aさんから見たらぼくなんて子供ですよね」
「いや、本当にそんなことないよ」
　諦めずに追いかけ続けられるなんて、私なんかよりもよっぽど精神が強い。キョウヘイの向く先が私でさえなければ、きっと幸せになれただろうのに。どちらがより大人で子供なのかで言えば、もしかしたら、肉体的には揺るぎない事実があるのかもしれない。ただ、たったそんなことで心を折って、彼に自分自身を卑下して欲しくない。
　私は、キョウヘイの手を掴んだ。
「行こう、キョウヘイ」
　黙ったままでいたキョウヘイが驚いて、「わっ」と声を出した。彼の指と指を絡めて、握った手を引っ張って歩き出す。
「あ、あの、Aさん？」
「一緒に行ってくれるんでしょ？」
「た、確かにそう言いましたけどっ......」
　ばつが悪そうに話すが、それでもキョウヘイはついてきてくれている。しばらくすると、彼は一瞬だけ足を速めて私の横へ並んできた。いつのまにか、手は固く握り返されていた。