【短編集】うわっ...私のレート低すぎ...？【pkmn】 (ページ16)

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明日にはもう飛行機に乗って帰らないといけない。しかし、もうガラルでやりたい事はやり尽くしてしまった。旅行している最中なのに暇だという矛盾を解消するために、路線も行き先も確認しないで電車に乗った。

　アナウンスが流れる。多分、駅の名前。ぼうっとしていたせいで聞き取れなかった。知りたい気持ちにもならないが。なんとなく、私はそこで降りてみることにした。
　駅から出ると、まさかの自然が目に映る。驚いて辺りを見回すと、すごく遠い所に大きな建物が見えた。あれって......街なのはわかる。そこへ行くには、広大なこの自然を歩かなければいけないが......
「そこのお嬢さん、バッジは持ってる？」
「え、バッジですか？」
　警備員らしき人に話しかけられた。バッジか、四年前のならあるな。一応持ち歩いているそれを、鞄から取り出した。
「ほう、八個____でも、すまないね。ワイルドエリアに入るには、ガラルトーナメントのバッジじゃないと駄目なんだよ」
「あ、そうなんですね」
　ワイルドエリアか、ここ。言われるまでわからなかった。
「すいません、知らないで駅から降りて来ちゃいました。教えてくれてありがとうございます」
「いいえ。お嬢さんもトーナメントに参加してみたらどうだい？他の地方とはいえバッジを八個も集められるなら、もしかしたら____」
「A？」
　とても聞き覚えのある声。声の方へ振り返ると、やっぱり......
「ああ、チャンピオン。お疲れ様です」
　警備員がユウリを見て挨拶をした。ユウリがチャンピオンと呼ばれている。もう、それだけで話しかけづらい。
「ありがとうございます」
　ユウリがにこっと笑って言う。昔よりも、人当たりの良い笑顔が上手くなっている。何か言うべきだろうか。流石に無視は駄目だ。でも、言葉が思いつかない。二年、たった二年。二年も期間が空いて____
「ユウリ、久しぶり」
　これがやっとだった。
「うん、久しぶり。一度も連絡してくれなかったよね」
　彼女の言葉がやけに突き刺さる。久しぶりなのは私のせい？
「ユウリこそ、してくれなかったでしょ」
　言った後に、自分が責めるような口調になっているのに気づいた。冗談っぽく言えたら良かったのに。しばらく、草木が揺れる音だけがした。気まずさを感じてか、警備員がどこかへ行ってしまった。ちょっと申し訳ない。