【短編集】うわっ...私のレート低すぎ...？【pkmn】 (ページ11)

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くっついたまま、沈黙が訪れる。そろそろ店員の視線が痛くなってきた。
「......ええと、セレナ、着替えてくるね」
「A、入るわよ」
「え？」
　セレナに押されて後ずさると、セレナも試着室に入ってきた。彼女が後ろ手にカーテンを閉めながら、私が壁にぶつかるまで歩いた。
「え、セレナ、一緒に入るの？」
「勿論よ。だって、他の人に見られないじゃない」
　試着室は、複数人で入るところじゃないのでは？頭の中にある常識が、今の状況の理解を拒む。一人でも元からそんなに広くないというのに、二人で入ると更に狭く感じる。
「......あの、着替えられないんだけど」
　私の背中には鏡、つまりは壁がある。そして正面には、私の腰に手を回しているセレナがいる。狭すぎてとても着替えられない。
「まだ着替えないでいいわよ」
　セレナはそう言うと、私にキスをした。何が起きたか理解できなかった。ん、と声を漏らす彼女がすぐ目の前にいる。「なるほど、その為に入ってきたんだ」と気づいて、私も目をつむって受け入れた。リップが滑って、こんな時でさえも彼女に女の子らしさを感じる。ふわりと、甘い香りがする。
「Aが男に、他の子に取られるなんて嫌......」
　唇が離れたかと思えば、彼女が寂しそうに言った。まだ、心臓のドキドキがおさまらない。友達同士でこんなことするのだろうか。
「セレナって、そんな風に思ってたんだ」
　いや、しない。こんな事をするのは、友達じゃない。今の状況は、まさにセレナが私に抱いていた感情の現れである。どうやら、さっき私が言った言葉はそういう風に受け取られたらしい。
「そうよ。Aは、そんなつもりじゃなかった？」
　頬が染まったまま、不安そうな顔で私を窺う。わからない、わからないけれど、嫌じゃない。むしろ、今の状況が嬉しいと思ってしまう。
「......セレナと、一緒にいたい」
　どっちつかずの返答。でも、セレナにとっては充分だったらしい。彼女は安堵するようにため息をつくと、私の服に手をかけた。
「さて、そろそろ着替えなきゃね。売り物の服も着ているから、脱がなきゃいけないわ」
　小さな声で言いながら、ボタンを外し始める。
「え、いや、待って、買ってくるから」
　当然のように私の服を脱がし始める。制止したくて言うも、彼女の服も着ていることに気がついた。
「ふふっ、何のために私が入ったと思ってるの？」
　彼女が私の肌を触ったのを見て、理解するのにそう時間はかからなかった。