弟が白い髪を切った件。 (ページ10)

今日:18 hit、昨日:5 hit、合計:15,315 hit

８．ページ10

「…お待ちしておりましたよ。Aさん」
学園を騒がせるリーチ…さんが開けてくれた扉を通り、VIPルームに足を踏み入れた。

『お招き頂き感謝します。アーシェングロットさん』

「いえいえ、ささ、そちらに落ち着いてください。」

僕はソファーに腰を下ろした。
それと同時に静かに扉を閉めてオクタヴィネル寮長の一歩後ろへと移動するリーチさん。

「…では、本題に移りましょうか」
僕は営業スマイルを浮かべるアーシェングロットさんにニコリと微笑んだ。

「休日は何をして過ごしていますか？」
『仕事ですね。』

「…では得意な事は何かありますか？」
『仕事でしょうか。』

「……契約としてこちらに差し出せる担保のようなものはありますか？」
『今までの仕事で得た国の文化、その知識などいかがでしょうか？」

そこまで言った所だった。
後ろからアハっと言う笑い声が聞こえた。

「何それ〜」ケラケラと笑いながらソファーに座る僕に後ろから肩を組んできたリーチ…フロイドか。

「ねぇジェイド、こういうのを陸ではワーカーホリックっていうのー？」
「ええ、フロイド。または社畜とも言う様です。」

「『……。』」

「…フロイド、Aさんから離れなさい。」
「あれ、こいつもトド先輩と同じ耳付いてんだけど」
アーシェングロットさんの言葉を全く聞かず僕の耳を弄るフロイドさん。

『……ではアーシェングロットさん。採用して頂けるでしょうか？』

「あっ！尻尾動いたぁ〜！！」
嬉しそうに戯れて来るフロイドさんを出来る限り意識から逸らしながら僕は話を続ける。

…子供ならまだしも、デカいわ。

「ええ、Aさん。では後ほど頂いた日程を元に出て頂く日が決まり次第メールを送らせて頂きますので。」

『本日は貴重なお時間をありがとうございました。』

　|

「精錬された動きでしたね。無駄がなく、流麗な」

「ええジェイド。夕焼けの草原…第3王子外交長の名も伊達ではないというのが伝わりました。彼は優秀だ」

「見てよジェイド、お茶菓子に生きたタコ丸ごと入れてきてんだけど」フロイドが不意に掲げた袋から出て来るタコにジェイドとアズールは止まった。
「「………。」」

「まだ陸上生物でないだけマシではないでしょうか」

「…えぇ…まぁ。プランクトンを集めて来なかっただけ…良しとしましょう。」

「ただ仕事が出来るは撤回します。」

「あっは、めっちゃ怒ってんじゃん〜」