弟が白い髪を切った件。 (ページ3)

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１．ページ3

『‥‥眩しい。』

『‥‥暑い。』

『もうやだ帰りたい。家に引きこもって仕事する。』

「何さっきから文句言ってんだ……とりあえずお前俺達の事見えてるよな？？」

『見えてない』
「おい。」

僕は今デカい大木みたいな男どもに囲まれて絡まれて。
多分どっかの寮生なんだけど。

正直死にたいし、帽子を見捨てて帰りたい。
『暑い‥アイス食べたい、そして死にたい。』

「「‥‥‥」」
男たちは顔を見合わせた。

「なんか色違うから絡んだら可哀想なやつだった」みたいな顔してる。

「‥‥帽子は返してやるよ‥‥。」
帽子を奪われて早三分。
僕の頭にキャップが戻ってきた。

『どうでもいいけど、退けてくれる？僕臭いやつ嫌いなんだよね。視界にすら入らないで欲しい。』

「‥‥俺ら臭いか？」

『いや全く。』
「何なんだよ！！」

『元気だねぇ、最近の若者は。僕はこんなに小さいっていうのに。』

「‥サイズと元気かは比例しねぇよ‥‥‥。何なんだよお前‥調子狂うぜ。」

『おや、疲れた？じゃァ僕も疲れたからアイス買って来て、迷惑料で良いから。』

「疲れた？ッて聞いた後によく言えるな！？つか奢んねぇぞ！？？」
『買ってきて。お釣りはあげよう。この貧乏学生共にね。』

「お前‥一言余計なもん付け足すなよ‥‥」

『おやいらないって？』
「いるわ悪かったな！！」

僕は札を手渡し、買ってきてもらった。

僕の仕事は外交に立ち会うこと。

多少の狡猾さは必要なのだ。あとは愛嬌でなんとかかんとか。

「‥校内での食べ歩きはマナーが悪いよ。キミ。」

男どもと別れた後、声を掛けられた。
もちろん無視した。

「ちょ‥！？ちょっとお待ち！！ボクじゃなくても人に話しかけられたら足を止めるのが基本だろう！！」
肩を掴まれ、仕方なく足を止める。

『何？僕甘い物食べてないと死ぬ病なのだけど。』
「そんなのがあるのかい！？」

『いや、なんかごめん。でまかせ。』
素直に解釈されるとちょっと申し訳なくなるこの気持ち。

「‥‥‥キミ、その帽子は？何か理由がないと禿げてしまうよ。」

理由があっても禿げるのでは？

『‥皮膚が弱いから。』
「‥‥それは？」

『は？』

「‥それはでまかせかい、と聞いてるんだよ。」

『これはマジ。』
「‥そうかい、改善を願っておくよ。」

『はいはい、さんきゅ。』

「いきなり軽いねキミ。」