【シバザクラ】臆病な心 ページ6
「姫、到着しました」
少年のぶっ飛んだ話を聞いていたとき、ふと柊に声をかけられた。
言葉からして依頼主のアジトに着いたらしい。
それを認識したAはぐっと伸びをして車から降りる。
勿論、乗るとき同様に扉は柊が開けた。
少年は車から降りると自然な流れでAの手を取った。
AもAで振り払うのも面倒なのか、されるがまま。
しかも、Aも少年も色素を感じさせない白髪。
端から見れば仲のいい親子のように見えなくもない。
柊はそう思いつつもぐっと堪えた。
理由は簡単、言ってしまえばAが嫌がって振り払うのは明白だから。
「姫、いってらっしゃいませ」
「ん…」
Aは柊の言葉に眠そうに答えて歩き出した。
その間も少年は楽しそうに話していたが、正直聞いていない。
聞いていないが、取り敢えず相槌は打っておく。
一方的な会話をしながら進むこと数分。
大きな扉の前で立ち止まる。
これを開けた先に依頼主がいる。
Aの顔付きが一瞬で変わった。
夜叉姫と化したAが扉の奥の人物に向け声をかけた。
「…ノーノ、雪夜叉だ」
「あぁ……入っておくれ」
返事を聞き、重厚な扉を押し開く。
扉の奥にいたのは温厚な笑みをたたえた老人。
暗殺者と繋がりがあるとは思えないほどに纏う雰囲気が柔らかい。
しかし、人は見かけによらない。
この老人こそが全世界に名を轟かせる大マフィア、ボンゴレのボス。
何百のファミリーの頂点に君臨する者。
彼がAに依頼をすることはそう珍しくない。
だから、Aは特に驚くこともなく彼に近づく。
「依頼は完了した。
この子供が今回の取引商品だ」
「ほぅ……アルビノかい？」
「いや、ただ色が白いだけだろう」
髪が白ければアルビノだというわけではない。
かくいうAも白髪赤目の持ち主だが、それは偶々だ。
偶々、そのカラーリングで生まれただけ。
色で勝手に希少価値をつけて襲ってくるのはやめてほしい。
「兎に角、依頼は完了させた。
その子供の処分はお前達に任せる」
そう言って、Aは少年を差し出した。
…否、差し出そうとした。
だが、少年がAの手をぎゅっと握ることにより阻止された。
どうしたのかと視線を向けると、手は離されたものの今度は腰に抱き付かれ。
声をかけてみるものの返答はなく抱き付く力が増すのみ。
子供との触れ合い経験など皆無に等しいAがうろたえ、老人は微笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【REBORN】心音―ｺｺﾛﾈ―〔初めの一歩〕
【黒バス】転生して生徒会長に上り詰めた冷血少年はリコさんの双子の兄だったらし... …よくそんなこと思いつくよね。マグロパート10…ふわぁ、眠い…寝るねもっと見る
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
K・M - メッチャ続き気になるんですけど。 (2015年10月7日 21時) (
レス) id: 6b3a0c3161 (このIDを非表示/違反報告)
鞠(プロフ) - リクエストさせていただきます！白蘭が、初めてマシマロ食べるシーンとかをお願いします！ (2015年8月27日 21時) (レス) id: 2dbae0e4b6 (このIDを非表示/違反報告)
トンぬら(プロフ) - あ、じゃあリクエストさせて下さい!マーモンと子百蘭とで何か誕生日ネタをやって欲しいです！後はお任せします。適当ですね、すいません。他のアルコバレーノ登場でもいいでお願いします！ (2015年8月17日 2時) (レス) id: eb9b83809d (このIDを非表示/違反報告)
ノーノン(プロフ) - リクエストです！ちょっと、お風呂騒動をしてほし〜なぁ、と…。結果的に入らなくても全然いいんで！お願いしま〜す (2015年8月16日 15時) (レス) id: c3b57de6d5 (このIDを非表示/違反報告)
織姫*Vega(プロフ) - 新作おめでとうございます！感想書くの初めてなので変なところがあったらごめんなさい…。日常編のリクエストなんですが、子白蘭が教えてもらいながらお料理するのとか見たいです！ (2015年8月15日 23時) (レス) id: 39f42d79b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
